生徒会の能力者達
美川彼方
第1話 生徒会に入れてやる!
「お前達を我が偉大なる生徒会役員にしてやろう!!」
放課後の屋上で、生徒会長が突然声を張った。
「…………」
「え?」
言われた2人は手すりの向こう側、外を見ながら喋っていたが、振り返った。
生徒会長はこちらを見た2人に満足したように笑い、続けた。
「もう一度言ってやる。お前達2人をーー福島海咲と桜綾花を我らが生徒会に入れてやる」
「何故?」
「どうして?」
2人が訊き返す。
「疑問は当然だな。だが拒否はさせないのさ!
ーーさあやれ!下僕どもよ!」
前半は頷きながら、後半は不敵に笑いながら生徒会長が叫ぶ。すると、屋上の扉が開いて3人の生徒が出てきた。待機していたのであろう。
「だーれが下僕だって?」
「全く、会長は……」
「…………」
3人はぶつぶつ文句を言いながら、海咲と綾花を囲うようにやってきた。
「じゃあちょっとすみませんね」
そのうちの1人がそういった時、2人の視界は闇に沈んだ。
そして10数秒後、2人と3人はどこかの部屋に移動していた。生徒会長はいない。
「生徒会へようこそ。いきなりで驚いたでしょう?とりあえず座って」
元からその部屋にいたであろう、上級生の制服を着た生徒がティーカップにお茶を注ぎながら言った。
「すみません、強引に連れてきてしまって。会長の指示だったんです」
さっきも屋上で謝っていた1人が頭を下げた。
「あれ、同じクラスの河北君じゃない?」
綾花がふと気づいた。
「はい、今年から同じクラスになった河北紫苑です」
「そっか、生徒会だったんだね」
「俺は1年の時から、前会長に連れてこられまして、今は書記をしています」
「現会長の雨流福寿は今こっちに向かってるだろうから、先に私達の自己紹介しておくわね。私は峰楓。見ての通り3年で、副会長をしているわ」
さっきお茶を煎れていた先輩がそう言った。
「僕は1年の神風水樹です。こっちが妹の藤乃、双子で。一応会計って言われてますけど、僕達もまだ入ったばかりなので。
それと、藤は訳あって話せないんですけど、コミュニケーションは取れるのでよろしくお願いします」
「…………」
さっき屋上に居た残りの下級生の2人が続けた。藤乃は水樹に隠れるような立ち位置で会釈をした。
「まあそういうことで。福寿はもうちょっとかかるかな、屋上からは割と距離あるし。今からのこととかきちんと説明させるけど、とりあえずは座ってお茶でも飲んで。3人も」
楓がそう言ってソファに促した。
応接室のような広めの長机に、座り心地の良さそうなソファが設置されている。机の上には、今はいない福寿の分を含めた人数分のティーカップが置いてあった。
促されるままソファに座り、カップに口をつけ始めたところで
勢いよく扉が開いた。
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