運営側7
GM空間で、スタッフ達は悲しんでいた。
「もう少し戦えたはずなのに、悔しい!」
「畜生!完全に対人戦の感覚で戦わされていた、攻撃場所とかよく見ると誘導されまくりじゃねえか!」
「最後イージーモードで扱われたのが悔しい」
そんな中、ため息をつきながら頭をかく主任。やっぱり無理があったかと呟く。
「元々演劇用、実戦用、そんな風に分けられたスタッフじゃねえからな。即興でシナリオの矛盾点直したりしてやっても無理がある」
別に不満に思うプレイヤーはいないのは奇跡だ。アンケートで目立つのは、時計兎がレアを手に入れたり、目立ちすぎるくらい。
「正直ランダムでプレイヤーが手に入れるはずの魔王種と、ランダムで手に入れる竜王の幼体をゲットするだけじゃなく、ロザリオとかあるからな。不正は無いんだよ不正は」
この人は自分らと同じ、ゲーム運営してるんじゃないかと思う。
とりあえず真面目な人なので、まあいい。注目やレアアイテム、重要キャラが集まっているが、それは運が良いだけだ。こちらから言うことは無い。
「確認作業終わったよ~やっぱりここまでくるとデータ整理が大変だね」
「お疲れ様です」
「このまま僕がいなくなったらどうなるんだろうか?」
「社長が抜けないで済むようスポンサー説得してますし、ほんと、悪いと思うのなら仕事してください。頼みます」
この人は例の事件のお父さんだ。さっきまで全データの見直しや監視、見落としが無いか確認。さらにシナリオにどう影響するかの確認作業。
(やっぱ専門スタッフで構成してやらないと無理があるぞ)
少なくてももう破綻し出している。ロザリオの設定。女神の生まれ変わりと言う部分は後々に発表になりそう。
もうこうなれば発表せずに空の封印やるかと言う声があるほどだ。今回力使ったけど。
「メタ読みでネタもバレてるし、畜生。秘術使わせてたら無限増殖高めて、防衛ライン突破してたはずなのに」
実は防衛ラインを突破させすぎると、大聖樹が倒れるルートもあったり、報酬が減っていた。なにげに全員全ての場所を守り、最高の状態でイベントを達成した。
陸の封印は可もなく不可もなし、そんな終わり方をしたと言える。
「とりあえずこの件で分かった問題点は本番に使われる。俺達GM側の問題点も解決できればいいが」
「………自分はこのまま、仕事していいのだろうか」
「頼みます、辞めないでくださいね!ほんと、増員があろうとプログラムはあなたしか頼めないんだから」
「う、うん………」
問題があるとすれば、この人がかなり事件の事を気にしている。断るごとにこれで、仕事量や重要性から辞められては困る。
くそふざけたことに、内々で終わらせる予定の裁判は大事にされて、そちら方面で大変炎上している。かなり気にされている理由はそこにある。
(確かにデータ流出はアウトだが、そうなるような仕事スケジュールだったのも問題だし、こっちはそのおかげでいまだってバグや他の不正ツールによる不正無しで運営している)
会話ログを誤魔化すツールで早期発見など遅れたが、誤魔化された会話を復元したのもこの人だ。正直すぐに変えができるわけじゃない。
辞められたらバグなど発生するかもしれない。ただでさえ、一部プレイヤーのみに友好度が集まりやすいバグでも起きてるんじゃないかと思われる状態なのに。
(いま責任によってチームから外されたりすればしわ寄せは俺らに来る。せめて専門のシナリオチーム、ゲーム運営チーム、ログ監視チームにデータ管理チーム。最低でもこれくらいGM用意してもらわないとこの人抜きは無理だ)
そう言えば、なにげに娘さんも同じような才能発揮している。娘さんは生産職の下請け的なことしているが、かなりの量を捌いたりして各部署の生産に頼られている。親子は似るんだな。
とりあえず、やはり謎のプレイヤーへの信頼がバグじゃないか再度検証しないといけない。
「なんで傍にいたからって、ランダムにイベント参加、最終決戦に参加プレイヤーのもとに来るはずの御子が兎さんとこに来てるんだあ?」
ホント、不正は無いか確認しないと。うるさい奴はうるさいんだよ。仕事増やさないでくれ兎さん。
「畜生、八つ当たりだが御子の反応は元々不採用にする予定の赤ん坊AIにしてやる」
「さすがに娘のことがあるから、やめてほしいんだけど」
「面倒見るのはGMスタッフのロザリオですし、赤ん坊AIでもちゃんと育てられる環境ですから問題ないですよ」
「まあ八割俺らの八つ当たりもありますね」
「平気かこれ?」
「あの人、ロザリオとリアルで仲良いですし、そういうの歓迎ですから良いですよ」
「んーママさんが言うならいいの、か?」
そんなことを軽く話し合って決めて、運営チームは少し悪ノリして決めるのであった。母親公認でよかったね兎さん。
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