運営側4

 ロザリオは与えられた役割を聞いて緊張する中、友人であるマリーさんとお話をしていた。


「なんかこのままだと連邦がやばいって言うか、各場所の開拓地がやばい気がするんだよね」


「あー魔物が活発化したとかいうあれ?」


「もう前兆出てる。魔物の数が増えて、開拓地まで顔を出すところがあるから、連邦も組んで防衛準備中。前線組のプレイヤーは防衛に回るから、他は開拓地防衛らしいの。プレイヤーの動きが早いね」


「兎さんとこも、魔鉱石発掘に時間かけて、いま最後のエリア攻略してるって」


「んー運営の動き見る限り、島の被害は出るだろうね」


 そんな話し合いの中、自分の役割を思い出してちゃんとできるか心配になる。


(命姫ちゃん達のお母さんだけで十分だよ)


 そう思いながら、そう言えばその話をしてなかった。命姫の話をしながらマリーは尋ねた。


「大丈夫?兎さん旦那扱いで? 嫌じゃない?」


「ううん、恋人吹き飛ばして旦那さんとかは驚いたけど、そう言われても仕方ないことしてるし。変な事も無いから大丈夫」


「そうかしら?ロザリオ可愛いし、リアル姿も可愛いからお姉さん心配。変なことされたらGМコールしなさいよ」


「うん、分かったよ」


 別にそんなことないんだけどなあと思いながら、二人はGМスタッフの空間で話し合い、今度のワールドクエストに備えて忙しそうな人達を眺めるのであった。


 ◇◆◇◆◇


「HP高過ぎない?」


 主任は最終調整に入った海の災いに対して、HPの高さに大丈夫か不安になった。


「主任、兎さんが最後のエリア解放に出向いたのは知ってるでしょ?あそこ攻略したらアレやコレが解放されてますって。大海の獣が倒されたのも、魔鉱石の砲弾を使いまくられた所為って話し合ったじゃないですか。初戦で確実に使われますよ」


「あー確かに………ログ確認したら兎さん聖樹守るのに必死だからなー」


「順番的に、人魚島からいまの島の場所が分かって、最後の所を最初にして攻略する予定ですから、うまく重なってよかったですよ」


「確かに。人魚島の探索見るに、そろそろ島のことバレるからな」


「確実にアレが使われますから、それくらいないと第二開戦前に終わりますよ。白薔薇が狙い撃ちするのがうますぎますって、弱点をアレで狙われたらそれくらいは欲しいです」


 実は海の災いには弱点がいくつもある。代わりにそれ以外の場所を攻撃されてもほぼ0ダメと言う形にしてる。


 それでもHPが高いのは、想定している戦場は島での防衛戦かその後、王国防衛戦で倒されると想定して作らなきゃいけないということ。


「娘に島破壊は宣言しましてね。ぜひ彼のボスには島を蹂躙してもらわないと」


「愛情の裏返しですか?まあそろそろ開拓地とか攻め始めても良い頃あいですからね。いくつか破壊しないと面白くない」


「ですから海の災いは王国防衛戦まで動いてもらわないと、最初の第一シーズンラスボス候補の一角ですから、爪痕はしっかり残したいんです」


「なら主任、弱点個所増やすかわりに、HPと攻撃力あげましょうよ。魔鉱石製品で動き重視にしたプレイヤーが動き回ると想定した方が良いですよ」


「あーそうか、兎さんそこも考えてるんだったな。今回はプレイヤーの行動範囲で難易度変わるから」


「風や嵐の精霊石製作してないところを見るに、動き重視はバレてませんね。防御力高める作戦のようですね」


「なら弱点個所を増やしてあの人の行動パターンみると、プレイヤーいても砲撃しそうだし」


「検討します」


 またボスデータの見直しが始まる。もう行動パターンなどはできてるし、テストも終えているから後はデータを再構成してテスト一回か三回すれば問題ない。まだ慌てるときではないだろう。


「最後のエリア解放されるから、最悪弱点があるのは知られてると想定して作るか」


「ですね。攻撃パターンはどうします?」


「対物攻撃だからそのままでいいでしょう。攻撃力高めるかは………ミスリルでどれほど施設強化するかだな」


「では残りは活性化する水属性モンスター達ですね。獅子戦記が作った場所はもう破壊決定ですね」


「あーブラリスのギルドか。彼らには悪いが更生していないし、トドメ刺しておきますか」


「あの人の娘さん達みたいに、一から反省してプレイして欲しいのに、また同じことしてますしね」


「そう言う人には悪いが、修羅の道を行ってもらうぞ」


 そんな話し合いをしながら、のちに社長から娘に敵と言われて悲しいと愚痴を言われて、まあまあと話すことにある主任。


 のちにラスボス候補として上がっていたボスエネミーが初出しされて、プレイヤーを阿鼻叫喚させるのであった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る