第30話・イベント二日目・過去の因縁がちらついてる
ログインする二日目、イベントは現実時間で一週間である。残りの日にち頑張らないと。
「転移のスクロール補充しなきゃいけなくなるって話だけど早くない?」
朝の会議で全員いる中で、マーリンがそう呟く。計算する時計兎やユニは難しい顔をしながら話し合う。
「俺も三日くらいだと思ったけど身を切って買う人が多くてね」
魔鉱石品が飛ぶように売れて居て助かるのだが、おかげで品物が少なくなるという事態に。
迅速に補給するとスクロールを使用してお金がかかる。転移のスクロールも品物として出しているから大変だ。ユニがポイントの消費を計算して少し難しい顔をする。
「移動代で5000P消費、行き来で10000Pは辛いですが、ドロップ品で賄うのなら抑えられますね」
「とりあえず僕らの方で手に入った皮を渡すよ」
「はいはい、マーリンお姉さんはしばらく職人になりますよっと」
カリバー達から材料を受け取るマーリン。愛好家のホームを借りて錬金術で品物補給。出来次第に島に転移できる人達がバンダナ達から魔鉱石のインゴットをもらう。
「レフトちゃんとライトちゃんは?」
「私と同行する。目を付けられても仕方ない装備だからな」
姉であるジャンヌはそう言い、奥でクロの今日の洋服選びしている妹達を見る。側で職人の女性プレイヤーに服を見てもらう白薔薇もいた。
「戦記が関わるとPK狙いで来るか。黄昏と俺への嫌がらせに狙うだろうからな」
双子ちゃんへの嫌がらせは俺らに来る。それに苦々しい顔をするジャンヌ。
その話し合いで、前もって考えた最悪な悪手を思い出す。
「念のために聞くが、前聞いたこと、それはさすがにやらないんだよな?」
それを聞き、カリバーとジャンヌは難しい顔をする。
「正直彼らもバカじゃない。それをすれば間違いなくゲームプレイに悪影響が出る。今後ゲームを楽しみ、トップギルドとして活躍したいなら絶対にしない。はずなんだけどねえ」
「押し付けてた奴らの様子を見ると、しそうだ」
カリバーとジャンヌは顔を歪め、ユニはめんどくさいと言う風に顔を苦虫を噛む。
俺はだから対策しようとジト目になり、マーリンは呆れ果てる。
「君からしたら彼らは絶対にやるのかい?」
「自分達をコケにした奴らはみんな悪だと思う奴らだからな。俺へと最大の嫌がらせの為に死力を尽くす」
「尽くす場所が間違ってるだろ?生産職に頼るんだから関係を良好を築くべきで、NPCがいなきゃそもそもゲームなんて成り立たない」
なのに生産職をないがしろにして、NPCはデータと言って消す。その結果を戦記達が背負わないといけない。だが彼らは責任を擦り付け合っている。
改善するために他人の足を全力で引っ張ろうとして自滅している。現状はこうなのに、彼らはそれを受け入れない。容易に想像できる時計兎は顔を歪めた。
「自分が偉い、自分以外は自分の有能性を引きだす駒でデータになんでごまをすらなきゃいけない」
「そう言われてたのかい?」
「ああ、だから彼奴らはここまで悪党になったんだろうな。知ってるか? 彼奴らは英雄扱いを望んでるんだぜこれで」
ため息を全員が吐く。キャラクターが大きいだけで中学生か小学生がプレイしてるんだろうか? 時計兎以外は本気で考え込んだ。このゲーム、背丈をいじれば年齢は偽れるから。
「昔はよかったんだ。強い敵を倒せば英雄扱いだし、みんな憧れの的になれた。だけど中盤、生産職の武器が活躍し出す頃、生産職の武器を使う事はよかったんだが、作ってくれて売ってくれた相手に感謝するどころか、感謝しろと言い始めたところからおかしくなった」
なぜ使ってやってるんだから感謝しろと言えたのだろうか? 最後まで理解出来なかった。
「なるほど………よくもまあ最後の最後まで面倒見たね」
「何度辞めようと思ったよ。けど困るのは彼奴らじゃなく生産職なんだよ。後はこっちを慕って入ったプレイヤー。彼らがいなかったらとっくに見捨ててた」
結局、彼らは俺が脱退する時に説得して辞めさせた。正直苦しんでいたところもあるから楽になって神技とかに入ったらしい。そこから大成したと聞き、笑い合いながら再会した。
そしていま乗りに乗っているからこそ、彼奴らは納得しないんだ。
「絶対に自分達を裏切ったと思ってるんだ」
だから復讐する、しなければいけないと逆恨みする。戦記は神技連盟に攻撃してるのだ。
「はあ、ヘイトは集めるよ。こうなるんならもっと早く潰すべきだったよ。反省さ」
「私もだ、ことを大事にしないか警戒させる」
「頼むぜ、しないと思いたいがするとしたら………ここは絶好のターゲットなんだ」
そんな会話をながら各々が仕事に戻る。
◇◆◇◆◇
二日目も順調に物が売れ、補給して働いた。ポイントは均等にしつつ、島組が少し多めに調整して稼いでいる。ランキングも一位をキープだ。
島に戻り、各報告を聞き指示を出す中、ホームでほっと休む。
「お疲れ様~大変そうだね」
「ロザリオ、ああまあ……少しねえ」
昔の知り会いが全プレイヤーと敵対する方法を取るかもしれない。そういう言葉を飲み込んで居間に寝っ転がり、隣に座るロザリオ。
「そうだ、兎さんは暇な時間があるかな?」
「作ろうと思えば」
「ならさ、王国王都の教会にこの手紙を届けて欲しいんだ」
イベント? そう思いながら手紙を受け取る。特殊な印が刻まれ、開けるのは少しためらう。
「教会の誰に渡せばいい?」
「えっとねえ、中庭で花の手入れをしているおじいさんっ♪」
それまたなにか細かい指示が入り、俺は少し面白そうと思い微笑んだ。
「分かったよ、ロザリオには家のこと見てもらっているしこれくらいはしたい」
「そうかな? ボクが住まわせてもらってるから、当然なんだけど」
「気にするな。とりあえず明日な」
「うん、お願いします」
こうしてロザリオは運営からお願いされたことをして、俺はそれに気づきながらもロザリオの手紙を持って、王国王都に出かけることにするのであった。
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