第29話・イベント初日・始まりは良好です
本土の方はお祭りが始まったようにNPCも大賑わいで活動している。王都にある『幻獣愛好家クラブ』のホームで店を出す。買い物はここでしてもらう事になっていて宣伝もしてある。他の人も帝国や連邦の人が集まる場所で店を構えてるだろう。
フィールドには黒いもやのような表情のモンスターの他にウサギを可愛くしてピンク色の兎が狩り対象。
同じようにイノシシや鳥、熊や魚モンスターが発生して各方面で狩りが始まる。黒いのはレアで他に得点が高いのはサクラベアと言うアサルトベアの亜種。種類多いな彼奴。
戦闘が得意なプレイヤーはフィールドを駆ける、町中では各国の貢献度ポイントが高いギルドが発表される。いまは『神技の騎士団』のギルドが高い。
俺は目立ちすぎると『紅蓮の獅子戦記』が妨害しそうで料理コボルトの指示を出す係。コボルト的には初めて会う人には緊張するから助かるようだ。
料理は適正価格を割り出してちゃんと作りながら出す。そんな中で戦慄するプレイヤー達
「純度百%の魔鉱石日本刀が50000Pって高いッ!?」
「けど出しちゃう、性能は良いッ!」
「片手剣も45000P。金に換えると450000Gか、耐久値も高いしやっぱ上行くな」
「盾、盾欲しい……ポイント狩りに行くぞッ!」
「樽は料理人ギルドとして計四つ欲しいぃぃぃぃ!」
前もって出された品物にプレイヤーは必死にポイントを貯めている。純度百の魔鉱石武具はさすがに数が限られるから早い者勝ちになる。
魔鉱石のインゴットも破格の10000Pにして出したがかなり売れている。コネがあれば銀鉱石などのトレードや珍しい素材とのトレードができるが、それが無いギルドやプレイヤーは必死だった。
料理も胡椒なども販売するがこちらも強きの設定をさせてもらったが売れている。
そうそう、料理人プレイヤーの人に白コショウなる作り方を教わり、使い方を教わる料理コボルト達。話が合うのか仲良くなってます。
樽も愛好家が素材全てを出して作り始めた為、かなりの数を揃えることに成功。行き来した分のスクロールは稼ぎ終えた。
「わん」
「くぅーん」
「わわん」
クロが店先で客引きをして、ウェイトレス服の白薔薇が客を呼ぶ。それだけで人が入り、コボルトが料理を作る。ただのクレープだが、丁寧にフランベしたりするさまに人が寄ってくるらしい。
オーブは少し人が多く前に出ないが、ミケに見守られながら触れあいコーナーから顔を出している。可愛いと人が寄ってきて頭を撫でられる。ミケがいるから問題ないだろう。
「了、お金とポイントをたくさん落としてください」
微笑む白薔薇に熱狂するプレイヤー。分かるけど男って単純だね。
「アサルトベアの軽装の売れ行きと、目玉商品の扱いに気を付けて。後はアクセサリーも在庫確認。前線にまだ出てるプレイヤーもいる、突然在庫切れ起こすだろうから」
「はい」
「ムラサメはこのまま鍜治場で仕事、仕事道具に問題は無いな」
「はい、少し癖がありますがいけますッ」
「よろしい」
在庫確認、状況確認、人員確認を同時にこなしながら、前線の様子を逐一聞き流れを読む。
ギルドメンバーの人達はこの人がこの場所に収まった理由はよく分かる。効率的に利益を得るのが好きなのだろう。言われ無くてもその通りに仕事する。
連絡を良くして状況把握を徹底する事で店内で起きるいざござも瞬時に解決する。やはり値切ろうとするプレイヤーは多くいたが、そこを神技と黄昏のトッププレイヤーで対処させることで対処している。人気のある白薔薇が丁寧にお断りすると周りの視線を感じてやめたりする。
「クレームして他者を貶めるってことするプレイヤーがいないな」
「いない方が良いですよそんなプレイヤー」
ユニからツッコミを受けて、さすがにしないが発言事態悪いかと反省する。
ユニから呆れられ、お互い人員と消費される品物に気を配りうまく回していた。
「いいのか?樽の材料全部タダで受け取って」
「島の事があるので必要経費です、第一品物は島産ですから一切気にせずに」
そう言われながら白薔薇の様子を見る。スクショを頼まれたらポーズを取って撮らせてあげるかわりに商品を買わせてる。問題ないようだ。
「とりあえずポイントも均等に分けられているようですね、ポイントを受け取る係を置きましたが、しっかり全員に行き渡ってます」
「報酬リストが先行公開されないかな? いや、されたら出し渋る客もいると思うんだが」
「ですね。一定のポイント稼ぐとして、団員全員になると高い景品はもらえませんから、自由時間の狩りを頑張ってもらうしかないでしょう」
「買い物で得をするのは俺ら島組なのは決定事項だからな」
「買い物の目玉は全部島産ですからね。それはみんな知っているので」
ただ後でクロとかモフらせてとかスクショを頼まれている。クロは服を着るのも遊んでもらうのは好きだが、オーブは人見知りなのだし、フォレストウルフ達をこちらに連れて来た転移のスクロール分は稼ぎたい。
マーリンはトッププレイヤーとして双子ちゃん連れて、前線にいるらしいが島の方はどうだろうか。
「島の確認はどうします?」
「朝と夜に出向くよ。バンダナしかいないし、開拓の様子も気になる」
そんな会話をしながら、第一の問題が起きた。
「邪魔するように我々にモンスターを擦り付けて死に戻るプレイヤーが現れました。相手は『紅蓮の獅子戦記』です」
「自爆行動し出したか」
「追い詰められてますね」
モンスターの押し付けは予測出来ていた。マナー違反どころの騒ぎでは無いのだが、予想が的中し過ぎて冷静に対処できているようだ。
相手のリスポーン場所はおそらく隠しエリア。斥候に見に行ってもらいいるのは確認済み。
いまは泳がせて用意してくれた敵を狩ってポイントを稼ごう。
「よくこうなると思いましたね」
「彼奴らねえ、イベントがあるたんびに妨害工作しろって叫んでたんだ。んな暇はないって反対してたけど、俺がいないとやると思ったんだよね~」
できればイベントモンスターを集めて擦り付けてくれ。そう思いながらユニと共に祈り、こうなると分かっていた前線組は対処してポイントを稼ぐ。
「しかしあなたなら妨害工作もありって言いそうですが」
「まあつい言ったけど、実行するのはまずいのは分かるから。当時は生産職にただでさえ嫌われているのに、プレイヤーにまで嫌われたらより孤立するだろう?彼奴らの要求は戦術的な妨害じゃなくただの嫌がらせ。そんなんしたら垢バンされるかもしれないじゃんか」
「やっぱり区別がついているかないかの違いだけですね~」
そうユニは苦笑して回復アイテムの補充も考えて動くのであった。
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