第22話

 俺の部屋へのドアとは別に、もう二つドアがあった。一つは小さな浴室と洗面所が、もう一つはトイレになっていた。

 こことは別に城の中に大きな浴室もあるらしいのだけど、今日は遅いからと部屋にある浴室へとアルファ厶に引っ張られて連れて来られた。


「カナ、服を脱げ。早く済ませてすぐに寝るぞ」

「なんか言い方がいやらしいんだけど…。てか、え?なんでアルファ厶も脱いでんの?」

「一緒に入るからに決まってるだろ。ほら早くしろ」


 呆気に取られて固まってしまった俺の上着のボタンを素早く外し、アルファ厶がテキパキと俺の服を脱がしていく。

 一気にズボンを降ろされた所で我に返り、大きな声を上げた。


「ちょっ…!じ、自分で脱ぐからっ。それに一人で入るからっ」

「ダメだ。それに何を恥ずかしがることがある?おまえの裸ならもう見ているぞ」

「…え?いつ…、あっ!俺を助けてくれた時?」

「ああ。初めてカナを見た時から誰にも見せたくなくて、俺が一人で着替えさせた。その時に見たおまえの白い肌は、はっきりと目に焼きついている。…カナ、こんなことは言いたくないが、誰のせいで到着が遅れたのだったかな」

「わ、わかったよ…。一緒に入るけどジロジロ見ないでよ…」


 俺はアルファ厶に背を向けると素早く服を脱ぎ捨てて、アルファ厶を振り返らずに浴室へと駆け込んだ。

 駆け込んだものの、身体を洗わずに浴槽に入るのには抵抗があって、入口付近でオロオロとしていると、すぐにアルファ厶が入って来た。

「カナ」と呼ばれて恐る恐る振り返った俺の目に、程よく筋肉のついた男らしい裸体が目に入り心臓が早鐘を打ち始める。

 アルファ厶の身体をガン見して、ふと自分の身体を見下ろす。

 アルファ厶に比べてあまりにも貧相な身体が恥ずかしくなり、慌てて隠そうとした両腕を掴まれて、強く抱きしめられてしまった。

 えっ、ちょっ、待って…!は、裸でアルと密着してるんだけど…っ。俺の腹に何か当たってるんだけどーっ!

 モゾモゾと動くけど、ガッチリと背中に回された腕はビクともしない。

 きっと俺のドキドキが聞こえているに違いない、とアルファ厶の胸に頬をつけると、俺の耳にもドクドクという心音が聞こえてきた。

 驚いて顔を上げると、すぐ間近にアルファ厶の顔がある。トロリとした緑色の瞳に俺を映して、そっと俺の額にキスを落とした。


「カナ…心臓の音がすごいな。俺のも聞こえるか?」

「うん…アルも緊張してるの?」

「してる。カナが可愛過ぎてマズい…。抑えれそうにない…。カナ、おいで」


 アルファ厶が身体を離して俺を壁の方へと連れて行く。そこには低い台があって、アルファ厶がその上に置いてある容器を手に取って蓋をあけると、掌に中身を垂らして両手を擦り泡立てた。その泡を俺の身体に塗りつけてゆっくりと洗っていく。

 あまりの緊張で軽くパニックになっていた俺は、抵抗することも忘れてアルファ厶にされるがままになっていた。

 ヌルヌルの泡に包まれたアルファ厶の手が俺の身体中を撫で回し、胸の尖りを掠めた瞬間、ビクンと肩が跳ねた。


「はぁ…可愛いな…」


 ポツリと呟いて、アルファ厶が俺の身体を反転させる。

 アルファ厶の大きな手が身体中を這い回るにつれて、俺は変な気持ちになってしまい、すでに力が入らないほどに蕩けてしまっていた。

 背中を撫でていた手が前に回り、俺の胸を数回擦って尖りをキュッと摘む。


「んあ…っ、あ…ッ」


 自分でも驚く程の甘い声が漏れて、慌てて両手で口を塞ぐ。

 それに気づいたアルファ厶が、更に強く乳首を摘んで引っ張った。


「やっ、そんなとこ、引っ張らないで…っ」

「なぜだ?こんなに赤く色づいてるのに?」

「え…?」


 アルファ厶に指摘されて胸を見ると、赤くいやらしく立ち上がった乳首が目に入った。

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