第31話 フューリア帝国の悪魔

筋肉ムキムキの悪魔と対峙するメル。


「我は、ベルフェ。いざ、勝負!」


周りの騎士達に応援される中、前に出る。


「ふぅ。よーしっ!」


「ふん!」


気づくとベルフェが目の前で拳を振り下ろしていた。


ズドンッ


メルは腕をクロスして受ける。


「はぁぁ!」


手に炎を宿し、ベルフェを攻撃する。


ドドンッ


胸を打ち付けるが、効いていない。

一旦下がり、遠距離からの攻撃を試みる。


「はぁ!」


赤い閃光が放たれる。


ビィーーー


ベルフェは手を出して受け止めている。

メルの魔力の回復が追いつかず、魔力切れを起こしそうになっている。

その為、火力が下がっているようだ。


「くぅ! 魔力が足りない!」


悔しがるメルに周りの騎士達が応援する。


『メルちゃん! 大丈夫か!? 頑張れ!』

『頑張って! メルちゃん!』

『メール! メール! メール!』


(応援してくれてるのに! 魔力が無くて、パワーが出せない!)


「トランスファー」


ブーン


突如魔法陣がジンとメルの間に出現し、光がジンからメルへ流れていく。


「これで、本気で戦えるだろ?」

「ジン! ありがとー! これで、全力を出せる!」

「今回は援護するって約束したからな。気張れよ!」

「よっしゃー! 気張って行こー!」


それをみて嘲笑う悪魔。


「ハッハッハッ! 魔力が回復したところで何が変わると言うのだ!」


ゴォォォォォ


今日1番の火力になる魔法陣。


「メラメラメルはまだまだ、ここからだぁぁ」


そう叫ぶと、ベルフェまで距離があるが、拳を振りかぶる。

すると、炎の巨大な腕が出現した。


「おりゃーー!」


巨大な炎の拳がベルフェに迫る。


「ぐぅ!」


ズドンッ


「や、やるではないか」


ベルフェが苦し紛れに上から物を言っているが、辛そうである。


「そりゃー!」


反対の拳も振り下ろす。


ズガンッ


「ぬぅぅぅぅ」


まだ耐えているベルフェ。

メルは、更に魔力を高める。

すると、メルが炎に包まれ、炎の化身と化していた。


「はぁぁぁぁぁぁ」


両手を組んで上にあげ、振り下ろすと同じように炎の腕が上がり、振り下ろす。


ドガァァァァァン


衝撃で、土煙が舞う。


「ウインド」


土煙が晴れてくると、膝を着いているベルフェがいた。

よく見ると所々火傷している。


「ハッハッハッ! やるではないか! 今回はこれで引こう!」


そう言うと球を出し地面に叩きつけ、出てきた魔法陣で消えていった。


『オォォォォォォ!!』


騎士達のテンションが絶好調になっている。


『メール! メール! メール!』


悪魔を引かせたメルにはメルコールが起きている。


「あはは! メルがまるでアイドルだな?」

「みんなに応援されて幸せだ!」

「ちゃんと皆にお礼を言っておけよ?」

「うん!」


メルは騎士達の方を向いて


「みんなー! 応援ありがとねぇーー!」


『ウォォォォォォォ』


騎士達から野太い歓声が上がる。


1人の騎士が前に出てきた。


「メル様! 是非、帝都で帝王様へお会い頂きたいのですが?」

「うーん。良いよ!」

「ありがとうございます! ご案内します!」


メルと騎士の大群が歩いていく。


『メルちゃん、彼氏いるの?』

『メルちゃんさ、ご飯一緒に行かない?』

『イエスメルちゃん、ノータッチ』


メルの周りにいる騎士達が口々に話しかける。


最後尾をゆっくり歩いていたジンは、何を話しているか聞こえていない。


「私ね、将来の旦那さんは決めてるんだ!」


『えっ!? そうなの!?』

『えっ!? 誰なんだ!』

『名を述べよ』


「ん~、ひみつ!」


『えぇぇぇーー!』


(言ったらジンが大変だから、言わない方がいいよね?)


会話をしながら、帝都に向かう。


――


帝都に着くと、帝王宅に連れていかれた。


「ここが、帝王様のいらっしゃるお宅です!」

「帝王様! メル様を連れてまいりました!」


「そなたが、メル殿であるか? 我はフラジール・フューリアという。この度は、悪魔を退けてくれて礼を言う」

「いいよー! でも、ジンと2人でようやく倒せた感じだから、私一人じゃないんだー!」

「け、謙遜もできる。可愛い、天真爛漫。萌える!!」


バシッ!


「ウゲッ」


「あなた! 折角国を救ってくれた人に何をしているの! ごめんなさいね! 私はこの人の妻のアマンダよ!」

「あっ、お邪魔してまーす!」

「まぁ、本当に可愛い子! その後ろに控えている子が彼氏なの? 只者じゃないわね!」

コショコショ

「あっ、彼氏では無いですけど、未来の旦那さんです」

「あら、良いわねぇ。いい顔してるじゃない! 私も惚れちゃいそうだわ!」

「ダメですよ! 奥様!」


メルと帝王の奥さんが盛り上がっていて、入っていけないでいるが、上手く話が進みそうで、ジンは、ホッとしていた。


すると、正気に戻ったフラジールが、真面目な声を上げる。


「本日は、悪魔を退けてくださり、本当にありがとうございます。」

「いえいえ、救援要請を受けてアリア王国から来ましたから、お気になさらず」

「そうか。では、高い功績を挙げたという報告をアリア王国にする。そして、メルちゃんと、ジンと言ったか? そなたの功績を称え、同盟を組むよう話を進める。よいな?」


「「はい!」」

「よろしくお願いします!」

「お願いしまーす!」


こうして、フューリア帝国もアリア王国の同盟国となるであろう。


はなして、この先の国には、何が待ち受けるのか!?

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