【詩】誕生


私はようやく生まれた


昨日の悲しみに涙を流す

流れきった涙は私の心の奥底に溜まり

私自身を深い水底へと誘う

息もできずに

沈んでいく体はしお辛い涙に浸透していく



今朝の陽がまぶしい

涙の池を庭の真ん中でひっくり返された

昨日の雨粒が残る土に

融合した私と私の涙は

滝のように落ちていく

土というフィルターで分離した私は地上に堕ちた

それからが人生の始まりだった



天にはまだ誰かの涙が漂っている

それは悲しみであり

尊い命でもある



私はようやく生まれたのだ




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