第七百二十九夜『頑強、安全、保証-Tomatina-』
2024/09/04「朝」「雑草」「残り五秒の目的」ジャンルは「指定なし」
スーパーで食品諸々を買い、うちへと帰る。
パックの白米、
帰路の途中、夕飯の献立を作る様を頭の中でシミュレートする。
今日の夕飯はフライパンに油を垂らし、
これにほうれん草の味噌汁、そして洗って切っただけのトマトを加えれば立派なご
俺は家に帰り、
買い物袋の一番上に位置していた徳用トマトの箱を手に取ろうとすると、果実特有の甘みと酸味の混ざった様な、一言で言うとフルーティーで
「ふざけるな! 俺はトマトをサラダや、洗ったままの生で食いたいんだよ! こんなんじゃ、
俺は
* * *
これが、俺の現在のプロジェクトを形作った
俺は現在、トマトの品種改良に心血を注いでいる。
実が
それに加え、大型動物に食べられる事を想定し、皮が硬く頑丈な植物も少なくはない。
例としてスイカは硬く、重いが、カピバラは
これがカピバラではなく、ハムスターなどの小型のネズミならば種子そのものを食べてしまうのだから、
これはココナッツの種子が海水に浮かぶ比重である事が最大の要因だが、ココナッツの種子が頑強だというのも大前提と言えよう。
これと似た様な事をトマトの実にも行うのが、俺のプロジェクトだ。
「絶対に自然には実が崩れず、皮を
繰り返すが、トマトは熟するまでは硬く、しかも有毒だ。
つまりは、このトマトの性質を維持する形で品種改良をすれば、必ずや丈夫なトマトは出来る筈!
俺の手元のプランターには品種改良済みのトマトが成っていて、丁度熟して赤くなったところだ。
「俺の理論が正しければ、この真っ赤に熟したトマトは未熟なトマトと同じか、それ以上に硬い筈だ」
熟した新種のトマトをもぎり、軽く握る。
トマトはまるで
新種のトマトは、軽く握っても破れるどころか跡もつかず、軽くテーブルに落しても同様だった。
「やった! 遂に出来たぞ! これで俺の宿願は果たされた!!」
俺はすっかり有頂天になり、大好物の冷やしトマトを食べるべく、新種のトマトをまな板の上に乗せて包丁を通した。
すると、新種のトマトは包丁の刃を跳ねのけ、包丁は刃の部分がへし折れて飛び、すごい
「どうやら、このトマトは人間よりも上位の存在に食べてもらいたがっている様だな……」
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