第五百七十四夜『高層ビルの高価な硬貨-Penny Drop-』
2024/02/07「闇」「息」「禁じられた目的」ジャンルは「大衆小説」
ビル群の中、くたびれた顔色の男が溜息を吐いていた。
彼は仕事に
俺はすっかりくたびれて
「全く、これも全部使えない部下共のせいだ……」
俺がくたびれていたのは仕事のせいだが、原因は部下のせいと言ってよかった。
「全く、最近の若者は全くもって使えない……」
最近の若者は怒鳴りつけるとすぐに黙り込むし、効率良く仕事を消化するからちょっと追加の仕事を頼んだら
「俺が若い頃は、あんなガッツや
誰に聞かせるわけでも無く、いや、自分で自分を
その時だった。俺は頭にベシリとでも言うべきか、軽く叩かれた様な痛みを感じた。
「痛た……何だ?」
見てみると、俺の足元には一枚の硬貨が落ちていた。
「全く……迷惑な奴だな。子供か鳥か知らないが、ケガでもしたら
そう言えば高層ビルから硬貨を落とすと、落下地点に居る人間はライフルで脳天を
もしもこれが一枚の硬貨ではなく、
まあそんな事はどうでもいい。そんな事より、今はだらしの無い部下の事を考えている途中だ。とにもかくにも、休日出勤の拒否は許し
一人の人員を教育研修でキチンと
わが社での新人教育研修は、決して安くも無視出来る値段ではない。何を以て一人分の費用と
その時、俺の頭頂部に何かが降って来てぶつかり、そして
俺は最初の
(誰か! 助けてくれ! 誰か!)
そう声に出そうとしたが、舌が動かない。そして息が苦しく、視界はモノクロに歪むだけでなく揺れて来るし、だんだんと身体は寒くなって行った。
高層ビルの屋上に、スーツを着てメガネをかけた典型的ビジネスマンと言った姿の男が、目を細めた営業スマイルと言った様相で地上を見下ろしていた。
「これでよし」
ビジネスマン風の男はそう、面倒な書類を片付けた様な調子で言った。彼の足元には
「
ビジネスマン風の男は死体をビルから落とし、それが原因で人が死んだにも関わらず、
「しかし、過労死した身内の遺体を使ってパワハラ上司にメッセージ性の有る
ビル群の中心、一つのビルの屋上でビジネスマン風の男はくたびれた顔色で溜息を吐いた。
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