第五百四十三夜『言われてやった罪-red tape-』
2023/12/30「人間」「動物」「穏やかな世界」ジャンルは「王道ファンタジー」
裁判長らしき人物は角を二本生やした
「証言の必要はありません、被告は
裁判長らしき妙齢の女性は、口を開いたと思ったらその様な事を早口で言った。
「ま、待て! これは裁判なんだろ? こんな
そう叫び声を挙げる被告人に対して、裁判長らしき妙齢の女性は溜息を一つ。世を
「そう言いますがね……貴方の様な罪人の裁判は今や山ほどあり、一度一度の沙汰に時間をかける事は出来ないのですよ」
「横暴だ!
罪人の横暴な物言いに、裁判長らしい妙齢の女性はカチンと少々頭に来た。
「よろしいですか? 繰り返しますが、貴方の様な罪人の裁判は山ほどあるのですよ。貴方の様な悪質転売屋の裁判は山ほどあるのです!」
そう言うと、裁判長らしき妙齢の女性は脇に置いてある鏡を指差す。そこには、罪人が生前行っていた数々の悪質な転売を映していた。
「これで証拠不十分だとは言わせませんよ。地獄に来る人が増えてしまい、今やこの様な罪人に質問をする
地獄の王代理の女性は、明らかにイライラした様子で自分の置かれた状況を語った。その様子たるや、自分にその権限があれば眼前の男の舌をやっとこでねじりへし斬ってやる! と、そう息巻いている様ですらあった。
罪人はその様子を感じ取り、しかしそれでも言い逃れをしようとする事は諦めていなかった。
「
罪人の命乞いを聞き、地獄の王代理の女性はニッコリと満面の笑みを浮かべた。
「ごめんなさいね、私も上に言われて貴方と言う罪人を裁いているだけなんです」
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