第四百四十三夜『授業の映像資料をハイスピードで-animate-』
2023/09/13「島」「PSP」「輝く大学」ジャンルは「青春モノ」
ある大学の文化人類学の授業で映画が使われていた。往年の名作映画の名シーンを流し、その文化的、歴史的背景を解説し、その上でレポートを要求すると言う内容の授業だ。
しかしこの頃、この文化人類学の授業は評判が良くない。教授が
生徒たちの無遠慮な要求と言うのは、以下の通り。即ち、最近は映画は
なるほど、表面的には授業に好意的な
これには文化人類学の教授も最初は真面目に意見を聞いていたが、すぐに主張の内容を聞いて真面目に話を聞くのを辞めた。だってそうだろう、映画には度々当時の流行歌が含まれることが往々にしてあり、逆に映画の作中挿入歌が当時の流行曲になる事もある。それを二倍速で流したら、台無しな上に意味不明でしかない。他にも島や
文化人類学の教授は本来、学生の学生らしい言動には基本的に寛容だった。授業の妨げをする様な生徒は
「お願いしますよー最近はそう言う物なんですってー映画の時間を短くすれば、その分授業の時間も長く取れて良いじゃないですかー」
「そうかそうか、考えておく」
文化人類学教授はそう言って、生徒をあしらって教室を後にした。
「よーし、生徒諸君からの要望も多かったので、今日の映画上映は倍速を使って行なうぞ」
文化人類学の教授は教室に入るなり、そう宣言した。これには学生連中も
「マジか!」「言ってみるもんだねー」「やった、映画はやっぱファストじゃないとな」「一シーンしか観れない映画、好きじゃなかったんだよね」
もう教室はワイワイガヤガヤと喧騒状態、しかし文化人類学教授はこれを気にせず映像資料の映画を上映し始めた。
映画が始まったと思ったら、文化人類学教授は当り前であるかの様に映画を倍速にした。それも一.五倍速や二倍速ではない、八倍速だ。二時間の映画であっても十五分で終わる計算だ。
生徒達は唖然とし、映画の倍速はそんなに早い速度で観るものじゃないと
そんなこんなで八倍速の映画は終ったが、誰の頭にも内容が全く入らなかった。
「それじゃあ、今の映画の内容に関して小テストするぞー映画は八倍速だったから、小テストの制限時間も三分と半分だ」
これ以降、文化人類学の教室では映画を倍速しろと言う意見は二度と出る事が無かった。
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