第四百二夜『周知の事実にしてトップシークレット-BE fool-』
2023/07/27「火」「終末」「悪のかけら」ジャンルは「ギャグコメ」
「もう
そう叫んだ男の顔は最早ノイローゼ寸前と言った模様だった。
何が彼をここまで追い詰めたかと言うと、
もうこうなると、まさしく生き地獄である。何せ彼は上司の秘密を知っているが、それを口にする積もりは無いが危うく口が滑りそうになる事が度々あった。その上彼は上司の事を害する積もりも無いし、自分の失言が理由で他人が炎上するかと思うと、そっちの方が辛い。
その結果がこれである。ちょっとでも誰かと会話するだけでも口が滑りそうになると思うと、それだけで
そんな毎日を過ごし、遂に限界を迎えた男は雑木林へ向かった。
(この雑木林は人通りが無く、丁度いい筈だ……)
そうは言っても、別段気に
男が懐から取り出したるは、園芸用の手持ちのシャベル。そこで彼は苗木でも植えるのに丁度良い様な穴を掘り、顔を近づけた。男はこの穴を話し相手に当てはめ、穴の中に秘密を話そうとしたのだ。
まさにその時であった。男が穴の中に向って話しかけようとしたら、穴の中から声の様な音が聞こえてきた。
『画家の
『浅井と言う
『私はインターネット上のフリーマーケットを通して呪具の数々の販売を売っており、名義貸しを利用してフリーマーケットの権利者を何度も
聞こえてきたは確かに人の声だった。男は目を白黒させ、何が起こったのか推測して感心した。
男は当初の目的をすっかり失念していたが、そもそも彼は自分の親しい人の秘密を喋りそうになる事を苦に思い、この雑木林へ足を運んでいたのだ。そして今しがた、どこの誰か名前も顔も知らない人の秘密を大量に知ってしまった。最早男の頭の中には、上司の秘密なんてどうでもよくなっていた。
「いやしかし、人間と言うのは皆似たような事を考える物だな。どこの誰か知らないが、私の秘密の代わりに喋らせてもらうとするか」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます