第三百三十四夜『読み本作家になろう! -in the now and past-』
2023/05/13「未来」「オアシス」「きれいな廃人」ジャンルは「王道ファンタジー」
「ご
時は江戸、場所も江戸。街では
翁は突然素っ
「八つぁんや、いきなりどうしたんだい?」
「ご隠居は元々書き物が得意だったんでしょう? オレも読み本を自分で書いてみたくなりまして、こうして知恵を
なるほど青年の言い分は翁に理解出来た。しかし翁は書き物をしていたものの、読み本とやらには全くの門外漢だ、
「読み本って言うのはアレか、
翁はそう言うが、青年はまるで話を聞いてくれない。
「いやいやいや、そう言わずに知恵を貸して下さいよ。それに今の読み本ってのは
青年の無神経な発言をしたせいで翁は少々気分を害したが、しかし青年はそんな事は
「へえ、そうかい。じゃあお前さんが一人で書けばいいじゃあないか?
翁はお返しとばかりに少々毒を言葉に入れたが、しかし青年はさっぱり気が付かないし、気にしない。最早一種の才能と言った
「ええ、ええ。オレも最近の読み本を読んでみて、これならオレにも書けらぁ! と、そう思った次第で……やれ馬に
「今はそんなのが売れているのか?」
翁は皮肉も何も無しに、素になって疑問を口にした。それに対する青年は自信満々の
「売れるんですよ! 今はそう言う読み本が
「はあ、そんな夢みたいな話がねえ……それでお前さん、儂に知恵を借りるとは言ったものの、何を聞きに来たんだい?」
翁がそう尋ねると、青年は急に恥ずかしそうにモジモジし始めて、小さい声でこう言った。
「いや何、実はオレは学が無くて寺子屋で
これにはさすがの翁も呆れ果てた。いや、向上心の有る若者の存在は
「こいつぁ呆れた。実は内心、お前さんが書き物をしているところを見た事が無いと思っていたよ」
「ええ、
「馬鹿な事を言っちゃあいけないよ。そんな事を言ってる
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