第三百三十二夜『今お前は怖いと思ったな? -I C U-』
2023/05/11「白色」「銅像」「先例のない
覚に関する話は
そのパターンでは、覚に
そのエピソードでは覚は
さて、ここで一つの疑問が生じる。言葉で恐怖を覚えさせて捕食する動物と言う存在は、自然界に許容されるのだろうか?
言葉で恐怖させると言う生態ならば、被食者は人間に限定される。例えばウサギか何かに「今お前は怖いなと思ったな?」と語りかけても、
蛇の様に一度食事をしたら相当な時間を断食できる動物だと仮定しても、一人で居る人間に獲物が限定する様な動物が山に生息していると言うのは理解し
この話題に関してだが、覚は
しかしもっと簡単でメジャーな
あなたも一人で暗がりに居るところを「今お前は怖いなと思ったな?」と後方から話しかけられたら怖いと感じるだろう。妖怪とはその様なものなのだ。
「今お前は怖いなと思ったな?」
深夜の暗い
「今お前はグズグズしていると取って喰われると思ったな?」
俺がそう口にすると、人間は増々怖がった。もう顔面は蒼白な上にクシャクシャに丸めた紙の様で、もう俺は面白おかしくて
「今度は逃げるだけ逃げようと思ったな?」
俺が追い打ちをかける様そう言うと、目の前の人間は腰を抜かしてその場にへたり込んでしまった。
「今お前は
その言葉がトドメになり、目の前の人間は両目を強く閉じて
俺は震えて目を閉じ動けなくなった人間を見て大変満足し、この場を去った。あの人間は一生俺と言う恐怖に
俺は一人で居る人間が他にも居ないか探し回ったところ、幸運にもすぐ
「今お前は怖いなと思ったな?」
二人目の獲物の目の間に立って、俺はそう言った。すると人間は俺に殴りかかろうと考え、実行して来た。
全く無駄な事だ。俺には人間の考えが読める、一挙一動を本人より先に知覚できる、無意識の
事実、俺は人間の攻撃を容易に
無論俺には人間の蹴りなど万に一つも命中しない。しかしこの人間はそれでも懲りずに頭の中で俺の鼻を殴り折る、腹部に
いや待て、俺は一体何をされようとしているんだ? 人間は俺の獲物であって、考えを一つや二つ言い当てたら心を
『飛び蹴りで妖怪の頭部を蹴り飛ばして、妖怪が地に伏して動けなくしてやる』
『フェイントの後、両腕を振りかぶって頭部を叩きつけたら妖怪は倒れて動けなくなる』
『妖怪が飛びのいたところに、奴の顎にラリアットを食らわせて
『顔面にストレートを喰らわせて上顎の歯を全部へし折ってやる』
『腕を掴んで胴体に蹴りを入れ、脱臼するまで痛めつけてやる』
『ちょっとでも
『殴って蹴って
「ふざけるな! なんて事を考えているんだ!? お前の様な人間は初めてだ、逃げさせてもらう!」
俺はどうしようも無い恐怖を覚え、背を向けて一目散に逃げ出した。全く、世の中には想像もできない様な恐ろしい生物が居るものだ。
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