第二百三夜『ユピテル・コンプレックス-Junior-』
2022/12/20「雨」「洗濯機」「荒ぶる物語」ジャンルは「ラブコメ」
皆さんはユピテル・コンプレックスと言う言葉をご存知だろうか?
ユピテル・コンプレックスとはルーツを
事の起こりはローマ神話の全能の雷神ユピテルの心のしこりが
しかしこの神話の
即ちユピテルは
しかし、ユピテル自身の出産に関するエピソードはそれだけではない。彼は後に本妻ジュノを
この様な神話は世界各地にある。アフリカでは嵐の男神セトが
神話に
ユピテルが不倫相手の子供であるバッカスを出産した際、彼の本妻であるジュノは危機感を覚え、単為生殖を試みた。しかし事実と見聞は異なる、浮気相手の子供を体内で育てたのは単為生殖とは本質的に違う、彼女が単為生殖を試みた結果生まれたウルカヌスは生まれつき足が曲がっていた。この事を恥じたジュノはウルカヌスを捨て子にしたと言われており、後にユピテルが出産した女神ミネルヴァに求愛したと言われている。
即ち、ユピテル・コンプレックスとは男性が子を産みたい、或いは妊娠した妻から我が子を奪いたいと言う
前述の通り、ギリシャ神話は心理学の源泉とも言うべき
ミンメイパブリッシング社刊行『神話に見る心理学―人の心は神の心』より
* * *
警察署内に二人の警察官が居た、刑事ドラマで見る様なベテランと若手の二人組だ。二人は自分達の仕事や、検察の仕事について話していた。周囲にはその二人しか居らず、大声でなければ話をしても周囲に
「先輩、聞きましたよ。僕が居ない間に、自分の妊娠ウンカ月の妻を刺し殺して自首して着た人が居たんですってね?」
若輩の警察官が先輩の警察官に言った。単純に仕事の内容と言うよりは、今どき自首だなんて珍しいとでもいう様な、
「ああ、それな。精神科でカウンセリングを受けてもらう事になった。治療を受ければ、社会復帰できるだろうからな」
「いや、待って下さいよ先輩。それって精神鑑定の結果
若輩の警察官の言葉は
「まあ待て、それはその通りなんだが、
「はい?」
これには若輩の警察官も呆気だ。何せ、自首して着た男は妊娠した妻を殺したと自供したと聞いていたのだから、前提が変わってしまった。
「第二に、そいつが妻と呼んでいたのは自分の
「はい?」
「大方人恋しさか、親や他人から配偶者や子供に関するプレッシャーをかけられ続けた結果、自分の頭の中に妻を作り出したのだろう。それから想像上の妻を相手に
「はあ……? 何と言うか、そんな事って本当にあるんですか?」
「あるんだよ。心ってのは、権力だとか焦りだとか企みだとか責任追及だとか早とちりだとか環境の変化だとか、そう言う物のせいで簡単に壊れたりするもんなんだ」
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