<因果> 14

翌日、茜が三日ぶりに登校してきた。


「もう大丈夫なのか?茜ちゃん」

心配そうに訊ねる洋に対して

翔太は黙って俯いていた。

「うん。もう大丈夫」

茜は明るく答えたが、

その前に一瞬だけ翔太の方に視線を投げたのを

俺は見逃さなかった。

「茜が学校を休むなんて珍しいな。

 何かあったのか?」

「・・え、ええ。ちょっと具合が悪くて」

俺の問いに茜の答えが若干遅れた。

俺は茜の言葉に嘘の臭いを嗅ぎ取った。

茜と翔太、二人の間に何かあったのだろうか。


しかし。

そんな俺の心配を余所に

俺達探偵団はこれまでと変わらず、

学校が終われば「楽園」に集まって煙草を吹かし、

他愛もない話で笑い合っていた。

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