陰キャ高校生の青春

不人気者

第1話休み時間、いつものボッチ飯

昼休み時間、運よく教室の後ろ側に位置した神崎正人は一人で今日もご飯を食べる。


実はぼっちは、教室の外でご飯を食べるよりも教室で飯を食った方が長期的に考えたら目立たなくなるものである。


そして神崎の思惑は計画通りにいき、最初こそ浮いていた感が出ていたが、次第に周りも慣れ始め今や風景の一部と化して目立たなくなっていた。


「ねぇねぇ芽衣!放課後一緒にこの前できたタピオカ屋さんに行かない?」

「いいね!一緒行こ行こ!」


前の席に座っている陽キャたちを観察する。


返事をしたのはカースト上位でクラスの人気者の七瀬芽衣さん。

そして、僕が密かに思いを寄せている相手でもある。


きっかけは前の席で一緒だった時に気さくに話しかけてくれたり、消しゴムを落とした時に拾ってくれたからだ。


気付かれないように目線は弁当箱に行っているが、自然と彼女の声を僕の耳が追ってしまう。


この退屈な学校生活のモチベーションが彼女に会って癒しをもらう事だったりする。

いつか告白でもできたらな……

告白出来たら付き合う事ができると思っていないが万が一のワンチャンスを掛けてみなきゃ分からないというポジティブな思考をする。


だが、彼には勇気を出す時間すらなかった。


「あぁ、でも大丈夫なの?」


「んん、なにが?」


「芽衣、早瀬君と付き合い始めたんでしょ?」


周りには聞こえない。


ただ、やけに聴覚の良い僕の耳はその言葉を拾ってしまう。


「ええ!?マイマイなんでもう知ってんの?」


「サッカー部のマネージャーの子が偶然早瀬君が告白している場面に出くわしたんだって、噂してたよ。」


「あちゃー…見られてたかぁ……」


「ちょっとなんで教えてくんないのよ、寂しいじゃんかぁ」


うりうり、と陽キャが七瀬さんの肩に軽く肘をぶつける。


「みんなにはもうちょっと時間置いてから話すつもりだったんだよ、ごめんマイマイ!」


え、マジで?

弁当を食べながら動揺していた。

その数秒後に悲しさが自然とこみ上げる。

だが、それを表に出してはいない。出してしまえば只の変な奴だ。

誤って両手をパン!と合わせてる音はやけに耳に響いて届いた。


















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