549.魔力枯渇と創造の世界
『そんなわけないでしょ』
私の思考を読み取ったキャスの念話だ。
『あの
キャスの念話に、それもそうかと思い直して頷く。
一般的に生まれて数年、特に10才以降に魔力量が増える事はないとされてる。
でも魔力枯渇を頻繁にしていると、10才を超えても増やす事ができる。
少なくとも私は、そうやって今も増え続けてる。
ただ魔力枯渇はかなり苦しい。
それに命の危険も伴う。
最近、蠱毒の箱庭と呼ばれ始めた森に私が結界を張り、地下牢で魔力枯渇の苦しみを味わった。
その後すぐ聖獣に昇華したばかりのラグォンドルの魔力を安定させたり、ラグォンドルが育てる方の卵5個と、ピヴィエラに託された方の卵に魔力を補填。
暫くした頃には、エッシュの魔力暴走を抑えるのに自分の魔力を使った。
エッシュは四大公爵家の直系だけあって、魔力量は多い。
その暴走を抑えて安定させるのに、自分の魔力がかなり消費された。
タイミング悪く国王からの命で、複数ヶ所に新設した転移署とかいう場所に、間を置かずに巨大魔法陣を設置していった。
あの地下牢の比にならない重篤な魔力枯渇に陥ってしまう。
さすがに死ぬと思って、
でも取りこんだら取りこんだで、あらゆる属性と種族の魔力が体内で馴染まず、魔力暴走を起こしかける。
被害を出さないよう亜空間収納に飛びこんだ。
一気に魔力を放出したらしたで、何故か空間が圧縮されて圧死しそうになった。
間一髪、気づいたキャスとラグォンドルで事なきを得たけど。
2体の聖獣達には、こっぴどく怒られた。
再び重篤な魔力枯渇に陥っていて、それどころじゃなかったけど。
ちなみにあの後、亜空間収納の空間が私の創造の世界に変わった。
原理原則はわからない。
色々実験してみたいけど、時間があまり取れていない。
とりあえず今は廃校舎の屋上に繋げて、私と聖獣達だけの休憩スペースにしている。
これはこれで良かった。
あの空間は安全だから、張っていた気を抜く事ができる。
小さい頃から私の魔力量とピヴィエラから得ていた知識を当てにして、無理難題を振りまくった私を除く王族と四公家。
その中でも特にスリアーダとアッシェ公の当て方は酷く、だからこそ2人のお陰とも言える。
魔力枯渇の症状を抑える方法もわかった。
それには聖獣契約や従魔契約が必要になるけど。
もちろん死の危険が伴うから、報告した事はない。
人体実験にされそうだ。
何より実験で魔獣が使われたら、それはそれでキャスやラグォンドルが激怒する。
「実は先王も、王としては魔法の腕が劣ると言われておりました。
ご存知でしょう?」
ニヤつく教皇は今までで1番、得意気だ。
私は初耳だけど、キャスは知ってた?
『知って……た?
あれ?
どうして忘れてたんだろう?
思い出した。
と言っても、あの頃の先王は契約してた僕を使うのも最小限で……あれ?
性格が急に変わってる?』
キャスにとって先王は、私の1つ前の契約者だ。
良く知っているはずなのに、キャスはどうして混乱してるのかな?
そう言えばピヴィエラも亡くなる前に記憶の混乱があった。
歪んだ聖獣契約から生じてる?
それとも他に何か要因がある?
「なのに即位後……そうですね、今の国王陛下が王太子となり、アシュリー=チェリア嬢を婚約者とした頃です。
ご存知のように隣国の1つが我が国に攻め入らんとし、先王は私と共に女神ヒュシスに祈りを捧げました。
その後からですよ。
先王が女神ヒュシスのお導きで、ロベニア国王に相応しい魔法の腕を身につけられたのは」
『そうだ!
思い出した!
コイツの言ってた通りだ!
神殿で祈祷するって城から出かけて行って、戻って来たら魔力量が跳ね上がって、性格も変わったんだ!』
キャスは教皇に同意するかのように、記憶の何かに合点がいったように興奮する。
『でも僕の記憶がハッキリしてるのは、先王が変わってから……何で?』
「そうそう、何故かその頃からですね。
先王がアシュリーを何かと気にかけるようになったのは」
キャスの念話と教皇の言葉が同時に頭に入ってくる。
ちょっと情報量が多いな。
※※後書き※※
いつもご覧いただき、ありがとうございますm(_ _)m
本日もサポーター限定記事にて、短編小説を投稿しております。
明日から4話投稿して完結となります。
よろしければご覧下さい。
そして皆様向けに投稿した新作短編が昨日完結しておりますので、よろしければご覧下さいm(_ _)m
【タイトル】
殺意強めの悪虐嬢は、今日も綱渡りで正道を歩む ※ただし本人にその気はない
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