251.金環と聖獣集合
「ギャ……」
今は私自身の本来の魔力に戻しつつ、アルマジロちゃんに与える魔力量を増やしたから鳴き声を出せるくらいには元気になったみたいね。
「金環……」
「左様ですわね」
ここに戻った時点で瞳にかけておいた幻術を解除して、普段は聖獣ちゃん達にお願いしてある魔力の放出も止めてもらっている。
普段あまり顔を見せない聖獣ちゃんにはむしろ私に魔力を補填してもらってもいるから、暫くすれば体に負ったダメージも魔力の回復と共に元に戻るわ。
「なるほど、やはり色々と隠していたのか」
「お気づきでしたの?」
あらあら、お父様は私の事には関心がないと思っていたけれど、気づいていながら放っておいたという事かしら?
「ロブール家にも王族との婚姻で王家の血は入っているから不思議ではないが、金環までは気づいていなかった。
だがお前が母親に宿った時に有り得ない程の魔力の高まりと、何にも縛られたくないという強い意志を腹から感じたからな。
その時にお前が祝福名を持つのが視えたし、それから暫くしてそこの白い子犬が母親の眠っている時を見計らって腹に話しかけているのを2度目撃したから色々察してはいた」
「狐だから。
ふーん、ラビの父親だけの事はあるって事か」
キャスちゃんたら、おすまし顔で取り繕ってもそれとなく尻尾が膨らんでいるわよ?
「ぷっ。
大方ラビを見つけてハイテンションになって注意力散漫になってただけだろう」
「違うし!
ラビに夢中になってただけだし!
いい加減そこを退きなよ、鳥!」
笑われて図星を突かれたのが恥ずかしかったのね。
狐キックが頭上めがけて飛んで来たけれど、これは私が華麗に躱して空いている手でキャッチ。
「ふふふ、それはそれで嬉しいわ、キャスちゃん。
でも今は頭をリアちゃんに譲っておいて?
もう時間がないの」
「ふん……鳥、本気?
ラビにだってそれなりに負担がかかるんだけど?」
少しでも長く触れ合っていたい気持ちが伝わったのね。
キャスちゃんはそう言いながら肩に移動してちょこんと乗る。
ほっぺにモフモフ……これはこれで幸せ。
「ああ、本気だよ。
負担はかかっても竜の時みたいな命の危険には曝されないさ。
あの時と違って私達がついてんだ。
それにその子は竜みたいに擦れてはいないし、今はラビに母性を感じて反発どころか慕い始めてるくらいだ。
短時間なのにラビの魔力にも馴染んでいる。
誰かを守ろうとする強い意志がないのは仕方ない事だし、そこは私が何とかするよ。
それにどうせ全部見てたんだろ?
兎熊の煮物をやけ食いしてんじゃないよ」
「ムッ、口うるさいオカン鳥め。
ラビの煮物が美味しかっただけだし。
ラビ、竜を呼ぶ?」
「そうね。
ラグちゃん、来られ……」
「来たぞ」
「ふふふ、相変わらず早いんだから」
腰に体を巻きつけてフリーな肩に顎を乗せる。
ほっぺにサラツヤな
皆私を慰めてくれているのね。
………………今なら皆をちょこっとずつ吸っていっても……。
「「「それは違う」」」
「?!」
くっ、こんな時だけは息ピッタリね?!
何故バレたの?!
「聖獣が……3体……しかも長らく姿を消していたキャスケットまで……なのに軽快……」
「ふっ……」
王子は呆然としているけれど、お父様は目元をほんの少しだけれど緩ませて私を見たわ。
「ふん、ラビだからな。
鳥、本気……おい狐、俺の肉……」
王子とお父様にラグちゃんが胸を張ってからの、リアちゃんに反応しかけたけれど、キャスちゃんのつまみ食いに気づいたのね。
ちょっと殺気だっちゃった。
「ふん」
プイッとそっぽを向く白いモフモフ……たまらん。
「大丈夫よ。
ラグちゃんにはお肉を柔らかくしてもらったから、少し多めにちゃんと取り置きしているわ。
リアちゃんの分も……」
言いかけてしょんぼりしてしまえば、リアちゃんが再びスリスリしてくれる。
「ラビ……できるだけ早く戻ってくるさ」
「……ちゃんと収納しておくから……早くね……」
「もちろんそのつもりだよ。
次に会うのが楽しみだ」
ひとしきり抱擁してもらって、気持ちを落ち着けた。
※後書き※
明けましておめでとうございます(*^^*)
本年も宜しくお願い致しますm(_ _)m
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