179.ラビアンジェ今世誕生秘話
『『僕の(俺の)愛し子の誕生にケチつけるなんて何事だあああー!!!!』』
ガラガラドォーン!!!!
まさか遠くから様子を
何事なのかはこっちの
お陰で特に王都は大雨雷特別避難警報が発令しそうなお天気で、確か邸内の木にも落雷してたんじゃなかったかしら?
うちのお邸も含めて王都全体が物理的にも修羅場って、大迷惑もいいところよ?
死者が出なかったのは何よりだったわ。
ちなみに私の存在を秘密にしていたこの聖獣ちゃん達は、この事が原因で他の聖獣ちゃん達にド派手にバレたの。
この後こっぴどく叱られまくったっていうところまでがセットで、ラビアンジェ今世誕生秘話として聖獣界で今なお語られているらしい事は、他の聖獣ちゃん達から聞いている。
『お姉様……いいえ、侯爵夫人。
何て事をうちの嫁と孫に仰るの。
貴女達、今すぐその者をつまみ出して』
静かな怒りを秘めた声で、お祖母様は侍女達に指示を出して実の姉を追い出した。
『ルシアナ=ロブール。
貴女はもう四大公爵家の1つ、ロブール公爵家の次期当主夫人なの。
他家の者の
それよりほら、なんて可愛らしい女の子なのかしら。
ふふふ、私、息子しかいなかったんだもの。
孫が女の子で本当に嬉しいわ。
ああ、泣かないで。
ほら、健康な女の子でとっても可愛いのよ』
『お母様……申し……訳……』
軽く体を拭かれて布にくるまった私の顔をきっと見せながら、必死に姪でもある息子の嫁を励まそうとしているお祖母様。
けれど自分の実の母親の言葉と私の性別にショックを受けた出産直後の今世の母親は、きっと私の顔なんて見る事もなく気を失ったのでしょうね。
『……気を失ってしまったわ。
本当にお疲れ様。
性別なんて気にしなくて良いのに、夫人は何て罪深い事を……。
未だに旦那様を……。
薄々気づいていたけれど、こんな事なら貴女に恨まれても出入り禁止にすれば良かった。
産まれたばかりのこの子を置いて領地に行っても良いものか……旦那様にお願いして、せめて私だけでも行くのを少し……』
『大奥様、いかがなさいますか』
視界が明るくなったのだけは瞼の裏ごしにわかっているけど、まだ目を開けられないでいる私の顔をのぞきこんでいた彼女の表情は憂いに満ちていたんじゃないかしら?
悩ましい声で思案するけれど、今はお祖母様と領地の邸にいる、当時の侍女長の言葉に我に返ったみたい。
『そうね。
ルシアナがどうしてもと言うから付き添いを許したけれど、ここは四公ロブール家だもの。
公女の誕生に水を差すような方には早々にお帰りいただいて。
これからルシアナがこの邸の完全な女主人となるけれど、今後そこのご婦人の邸への出入りはもちろん、我が家門との個人的な交流を固く禁じると夫である侯爵にも伝えなさい』
『畏まりました』
『処置が終わったなら外の旦那様とミハイルを呼んで。
ライェはまだ戻っていないの?』
『任務でお戻りには数日かかるかと……』
『……そう。
ならまずはこの子の誕生を私達だけでも喜びましょう。
準備して』
『『『畏まりました』』』
四大公爵家の夫人としてテキパキとお邸の使用人達全員に指示を飛ばしていくお祖母様。
前々世ベルジャンヌだった私はそんな彼女を頼もしくもあり、嬉しくもありつつ、いつしか眠りについていたわ。
結局お父様と顔を合わせたのは10日後だったけれど、これは仕方ないの。
王都は例を見ない程の局地的な落雷と洪水で復旧作業が必要となったのだもの。
魔法師団長だって当然のように駆り出されるわよね。
今世の母親は私を決して抱こうとしないまま、お祖母様が侍女長や乳母と一緒に半年程お世話をしてくれた。
当初の予定では私が産まれて1ヶ月程度経過したら当主の座を息子夫婦に譲って領地の1つに夫婦で向かうはずだったらしいわ。
けれど先にお祖父様が行って、お祖母様は少し延期してから領地へ向かったのですって。
乳母と侍女長はそれから更に1年程して新たな女主人に邸から追い出されるように領地の祖父母の元に。
それを私が知ったのはそれから何年もしてからだったわ。
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