一話ー冒険者、レイの危機

ー某王国首都冒険者ギルドにて。


この世界最大規模を誇るこのギルドでは今日も沢山の人が押しのけ、いつの時間も混み合っていた。


特にこの朝の時間は、良い依頼を受けようとする冒険者たちでごった返していた。


そんな中、ギルドの奥にあるギルド室で一人の男性と二人の女性が向かい合っていた。


「それでギルドマスター、B級の私になんの用事かしら?」


そのうちの一人である私こと、レイは非友好的なギルドマスターと対面していた。何故ギルドの最高権力者と敵対してるのかと言うと、まぁ色々あったわけだよ。


「俺だってお前みたいなやつには頼みたくなんかなかったがな。」


「ギルドマスター、少しその汚い口を閉じてください。」 


このギルドマスターに向かって毒舌を放っている女性、リンダはギルドマスターが唯一頭が上がらない人物であり、元凄腕冒険者で、超絶美人、しかもこのギルドで唯一私に優しくしてくれると言うなかなかにキャラが濃い受付嬢だ。


「それで単刀直入に言うが、お前には集いの森に調査に行ってほしいのだ。」


「集いの森になぜ、あそこは初心者用でしょ。」


今言った集いの森とは、弱い魔物しかでないため初心者御用達となっている森だ。ちなみにこの名前は魔物を求めた冒険者が多いことからつけられた。


先程言った魔物とは何かという質問は長くなるのでここではカットする。


「本来でa 「本来であるならそうなんですが、実はあの場所で何か異変が起こっているらしいのです。」それ俺のセリフ。」


「異変って?」


「お前もそっちに返事するな。」


「実はですね、あの場所に向かった冒険者たちが全員消息を絶っているんです。」


ギルドマスターの事


「おっほん、そういうことだからお前には、その森の調査をしてもらう。」


「説明したの私なのにどの口がいってるんですか?」


「ハゲはでしゃばるな。」


え、ギルドマスターに悪口叩いていいのかって?いいんだよハゲは悪口じゃなくて真実だから。 


「俺ギルドマスターなのに......」


いじけてるハゲは置いといてちゃちゃっとリンダと手続きを済ませ、ギルド室から出る。


早く依頼された場所に向かお。 


「おい待てよ。」


途中でC級のえっーと、名前忘れたけどなんか掴みかかってきたから背負投げしてから出ていった。あ、ちゃんと弁償代はおいていったよ。


で、魔物のことだけど、多分B級のメデューサだと思うんだよね。リンダから教えられた情報とだいたい一致するし。魔物と冒険者のランクは同じだから初心者達が破れたのも納得いく。まぁ私なら余裕で倒せれるんだけどね。


でも、なにか嫌~な予感がするんだよね。


とりま、進むか。


10分ほど森の中を気配を殺して進むと、早速メデューサ発けn......ん?


「シュルルルルル~~」


「えっ、待って、嘘でしょ。こんな事ありえる?」


はい、ということで、私レイは今大ピンチの真っ只中にいるんですよ。というのもですね、B級のメデューサと思ってたら、いたのはなんとS 級のバジリスクでした。わーいパチパチー(棒)......いやだめだ、現実逃避してる場合じゃない。誰だよ余裕で倒せれるとか言ったやつ。私だわ。


このバジリスクは別名蛇の王と言われ、他の蛇達を眷属として従え、石化の呪毒を有し、また、その瞳は滅死の魔眼と言われてる。不老であり、その体躯は時とともに際限なく成長すると言われている。


バジリスクが従える眷属は様々で、今回はメデューサだったからそう勘違いしたわけね。納得納得......だから現実逃避してる場合じゃないんだってば。


「シュュュュゥ」


一応見つからないように願ったりしたんだけど、まぁやっぱ蛇の王であるバジリスクが私のことを見逃すはずもなく、私はあっという間に追い詰められた。


やばい、これはマジのマジでやばいやつだ。今の私のステータスじゃバジリスクを討伐することはできない。


ということは私が取るべき選択肢は一つだけ。


「はぁ、仕方ない。これは使いたくなかったんだけどね。」


「???」


私はフードを脱ぎ、一言呟いた。


「覚醒。」


「シュルルr(((


すると何ということでしょう。一瞬で私の灰色の髪は黒と紫になり、目も黒くなっているではありませんか。しかもさっきまでいたバジリスクとその眷属のメデューサの首が落ちているというとてもカオスな状態に森が変化しました。


しかも、しかもですねぇ、私から半径100メートルぐらいの場所の木が全部へし折られてるんだけど。いやこれどういう状況?


「まって、もしかして、これって私がやった......いやうん。このことは考えないようにしよう。」


そういえばバジリスクの遺体どうしよう。ギルドにはメデューサの遺体持っていけばいいんだけど、バジリスクなんか出せば国がパニックになるし私も問い詰められる。


「あれ、何この箱。」


するとなにか四角い箱を見つけ、手を伸ばすと......「パッパカパーン」という愉快な音が響き渡り、人影が現れた。


「試験クリアおめでとうございます!!!あなたはこの迷宮に入ってきた最初の一人です!!!」


「は?」

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