File No.23:ジャックス・新作戦実行!!
英雄異世界【ブレイドピア】の征服を企む、悪の秘密結社『ジャックス』。
このあたしトクサツ少女ヒロミと相対し、破壊・略奪・残虐非道をモットーとするオーソドックスな組織である。――そしてアジトは所在地不明!(重要)
そんな中でブレイドピアの湾岸より巨大潜水艦が進行したという情報がジャックスから入ってきた。
何でもその湾岸に隣接しているアジトに一人の幹部がやってきたらしい。
……あ、湾岸にアジトがあるっつっちゃダメじゃん!!!
今の無し! 特定しちゃダメだかんねプライバシー侵害だからね!!
★☆★☆★☆
――さて、所在地不明のジャックスアジト。
海底より堀進められた海中水路を潜り抜けて、アジトの入り口まで辿り着いた潜水艦。果たして誰が乗っていたのだろうか……? 潜水艦のドアが開かれた。
「ニェヘヘヘヘヘ!! 我がジャックスきっての天才科学者にして大幹部の一人、『プロフェッサー・ファントム』の登場だよ~~ん!!!」
…………何だこのおじいちゃん?
悪の科学者らしく白衣の代わりに黒いマントを羽織っているけれど、その中身はホントに骨と皮だけのヨボヨボ、栄養失調じゃないかってくらい痩せ細っていて……
おまけにちんちくりん!!
わーいあたしと同じちんちくりん仲間~♪って言ってる場合じゃない!!
それと何だろうな歳に似合わないテンションは……ご年配がハイになって血圧とか気にならないのかしら。
そんなおじいちゃん……もといプロフェッサー・ファントムはアジトへと意気揚々と向かい、入り口のゲートを開けた。
「やーやー諸君元気かね? 愉快なおじいちゃんが来たでぇ~!」
あんた何処の出身なのよ。
まるで親戚が家に遊びに来た感覚で挨拶するファントムに、戦闘員達も温かく迎え入れ――――るとでも思ったか!!!
「……ぬぁにが『諸君元気かね☆』だクソジジイ!!」
「テメーが見物してる間にベクター大佐様がどんだけ頭抱えてるのか知ってんのかコルァ!!」
「少しは入れ知恵くらい貸すくらいの協力はしろ!!!」
戦闘員達総出の大ブーイング。ニィィニィィと奇声を立てながら、銃やらナイフやらファントム目掛けて投げつける始末。それをヒラリと平然と交わすファントムおじいちゃんも凄いが。
そんなブーイングも諸ともせず、フンッと鼻であしらいながらファントムおじいちゃんはベクター大佐の部屋へ向かっていった。
――その頃ベクター大佐の部屋では……
「くぅ~!! おのれおのれ憎きトクサツ戦士め……この前のミドルーディング地方のスネーク拳士までも倒しおって……!! 何かアイツに弱点が無いのか!!?」
プークスクス☆ ベクター大佐、今日もあたしの活躍で悔しがってる!
前回の『
今日はベクター大佐は何やらモニターでまじまじと見つめながら観察をしているようだ。何を見ているのかな~……ってこれ、
あたしの家じゃないのッッ!!?
『きゃ~♪ 猫耳バンド付けたルリナちゃんも可愛い~~♡︎』
『喜んでもらえて嬉しいですにゃん☆』
『ほらあたしの膝元においで~、滅茶苦茶なでなで良い子良い子してあげる!』
『にゃんにゃん♡︎♡︎』
40代のおっさんが真剣にイチャイチャ子猫ごっこしてるあたし達を観察してるとか、ただの変態じゃないのよキモッッ!!!!
恥ずかしッ! そんなガチで見つめないで止めてお願い!!
「全くいい気になりやがって……調子乗らないうちに、早いとこの世界の英雄の居場所を探して潰しておかねば、さてどーしたものか……」
「ベクター大佐殿にそんな趣味があったとはのぅ~」
「わ゛ああああッッ!!!!」
音も気配もなく部屋に忍び込み、真横から話しかけたファントムおじいちゃんに気付かずガチビビリで驚くベクター大佐。下手すりゃ心臓止まるわよ。
「何だプロフェッサー・ファントムか。相変わらず不気味な幽霊ジジイだな、封印された後の割には随分ご機嫌じゃないか」
ファントム、即ち『幽霊』の呼び名で通るおじいちゃんは先程のような不気味で気配を感じない事から『幽霊ジジイ』なんてあだ名が組織の中で通っている。しかも本人公認なんだとか。
「お前も相変わらず口が悪いな! それに若い娘達のにゃんにゃんをじとーっと盗撮なんざ、悪人にしては道を外しとるんじゃないのかね?」
道を外してる処か、つまらん趣味嗜好と誤解されつつある。
「誰が盗撮マニアだこのクソジジイ!! 文句言いに来たんならさっさと帰れ!!!」
「何だよー、せっかく良い情報取ってきたのに年寄りには冷たいのぉ。帰って麻雀でもしとるかなー!!」
おじいちゃん麻雀出来るんだ。で相手は誰よ?
……あ、あらあらホントにファントムおじいちゃんトボトボと帰っちゃったよ! 寄り戻さなくて良いの!?
「フン、居たところで時間が無駄になるだけだわい」
あーそんなこと言ってると……!
――ピコーン! ――ピコーン!
ジャックスの不死鳥のマークの中央の赤いランプが点滅し、無線が入る。これは首領からの遠隔メッセージの合図だ!
「はっ!?」
ベクター大佐も意識的に部屋の椅子から立ち上がり、敬礼で応答を待ち構えた。
『ベクター大佐、サースマリン地方から移動したプロフェッサー・ファントムはもう来ているだろうな?』
「え、はいっ! つい先程このアジトに上陸されましたが……?」
『ならば彼から新しい英雄の居場所の在処の事は聞いているだろう? ファントムは今何処にいるのだ』
これを聞いてベクター大佐はサーッと血の気が引いた。ホラホラ、早くおじいちゃんを寄り戻さないと潜水艦行っちゃうぞ?
「ちょっとお待ち下さいッッ!!!!」
ベクター大佐は超特急で強引にファントムおじいちゃんを連れ戻し、部屋で整列させた。
「無事、連れ戻しました!!」
「戻されちゃいました、へへ……」
『宜しい。今も言ったように先程ブレイドピアに一つの英雄反応が出た。
早速だがベクター大佐、今回はプロフェッサー・ファントムと協力して、英雄の眠りが覚める前に始末するのだ! トクサツ戦士の戦力強化にならぬうちにな……!!』
「はっ! 了解しました!!」
そしてランプの点滅と共に、首領との通信は途絶えた。
「……だから言ったじゃろう、良い情報を持ってきたって」
「だったらさっさと言え! 何処に英雄が眠ってるんだ!!」
首領の前で赤っ恥をかかされたベクター大佐は顔を真っ赤にさせて憤る。自業自得とゆーか、八つ当たりとゆーか……
「サースマリン地方の『サースマリン海底』じゃ!!」
「……何!?」
ブレイドピアの中央都市から南の方角にあるサースマリン地方。その主な特徴は、更に南の領域にある広い大海原『サースマリン海底』と呼ばれる地帯を売りとする南国の地方なのだ。
そしてその海深くに新しい英雄が眠りを覚まそうとしている。この間が森の奥の遺跡で、今度は海底か。一体どんな英雄が居るんだろう?
「だったら早くその場所に案内するんだ!!」
「っと、その前に……」
「何だ!?」
おじいちゃんは急かすことなく悠長にベクター大佐にある提案を出した。
「お前さんはあの『トクサツ戦士』の弱点を知りたいんだろう? 英雄を潰す前に、目の前の障害から徹底的に潰すことを優先したほうがよかろう」
「何!? お前はあのぶっ飛んだパワーにも弱点があると言うのか!!?」
え、ごくっ……あたしの弱点をおじいちゃんが知ってるの? まさかあたしの美少女好きに漬け込まれちゃうの!?
「そんな初歩的なものではない。人は誰しも一ヵ所は死角があるものじゃ。トクサツ戦士も然り、無限大の想像力パワーに隠された弱点をな!」
……何だか変なおじいちゃんと思ったけど、かなり嫌~な予感がするわね。
新しい英雄の登場と、あたしの弱点!
2つのテーマで繋がる新たな展開や如何に!?
……てか家の何処に隠してんのよ、ジャックスの隠しカメラ!!!!
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