モータルワールド~現代チート?海兵隊超兵士の黙示録戦線~
うがの輝成
序章
第1話 予兆
──この物語は、多元宇宙論における別宇宙での地球の物語である。
よって、我々が知る地球とは一切関係は無い。
ボォオオオオオオオオォォォ……
その日、アメリカ 欧州 アジア アフリカ他、世界各地で謎の不気味な怪音が断続的に響き渡った。地域によっては金属音のようであったり、巨大生物の咆哮のようであったりと様々。
西暦20xx年 某日 アメリカ合衆国ニューヨーク 午後8時46分。
原始的で巨大な管楽器のような荒々しい重厚な演奏が、血肉色に染まった摩天楼の夜空に、重々しく響き渡り奏される。
──WARNING!!
それは、本能に訴えかける
「おい、この気味の悪い音は何だ…? どこから鳴ってるんだ!?」
「……遠くからと言う感じでは…ないわよね? いったいどこから鳴っているのかしら…?」
「……なるほど。分かったよジョディ」
男は何かを察し、周囲を忙しく見回しているパートナーの疑問に上空を仰ぎ答える。
「これは…上からだよ! 空一面から鳴ってるんだ!」
これは何かの予兆なのか。 突如、大都市に起きた原因不明の怪現象に人々は誰しも言い知れぬ不安を感じていた。
ニューヨーク マンハッタン セント・パトリック大聖堂。
午後8時45分営業終了から、僅か一分後の南西広場にて──。
「あー、サラか? また
えっ? 今? ああ大聖堂そばだよ。……あ? ニューヨークのだよ!アホか、お前から持ち出してきた依頼だろうが、ボケてんじゃねーよ!」
その男は、スマホ片手に女性と思わしき者と、
黒のパーカーとマルチカム迷彩のミリタリーパンツに軍用ブーツ。
その両手には薄っすらと傷跡のようなものが見える。
過去に何があったのか、まるで杭で打たれたかのような傷跡。
セント・パトリック大聖堂は、1879年に建てられたネオゴシック様式の歴史ある大聖堂。二本の尖塔が特徴であり、ニューヨーク、マンハッタンの観光名所の一つである。
周囲向かいには、超高層ビルを含む複数のビルからなる複合商業施設、ロックフェラーセンターが軒を連ね、裏手にはベネズエラ領事館などの政府施設も置かれている。
夜9時前とは言え、世界屈指の大都市。まだ賑わいを見せる中での異常現象に、慌てて出てきた教会関係者らも含め、人々は、誰しも不安気に狼狽えている様子。
大都市の煌々とした街明かりの反射の影響もあってか、夜空は赤みを帯び、臓物のように低くぶ厚い雲が垂れ下がっていた。
その男のフードの影から僅かに覗かせるのは、欧米特有の丹精な顔立ちと、東洋の血の流れを感じるハーフ顔。中々のクソイケメンだ。
身長は180cmほど。ゴリゴリではないが、衣服の上からでも分かるトップアスリートや格闘家のように、かなり鍛え抜かれている印象。
見た目的には、20代前半とまだ若いように見えるが、その泰然とした佇まいと異様とも言える雰囲気から、その年齢を不確かなものにしている。
周りの騒然とした喧騒の中、フードの男は通常業務の外回りのベテラン営業職かの如く、平然と淡々に通話を続ける。
「あ?……あーとっくに終わったよ。つうか、バチカンの許可下りるのが遅すぎるだろ…まぁ別機関に委託するのはプライドが邪魔したんだろうが、結構ヤバイ状態だったぞ。……え?…ああ、エクソシスト三人とその助手らだ。ズタズタに切り裂かれ、手遅れだったよ」
誰かに聞かれたら、色々な意味でヤバイ内容だが、周囲の人々とは距離を置いているのもあるが、周りはそれどころでは無い様子だ。
「まあ、その話は後だ。‶ゲート〟が開きそうだ。とにかく誰かすぐにこっちに来れそうな奴はいるか? それと‶ルドルフ〟の手配を頼む。プレゼント内容は任せるよ」
何やら隠語が含まれたきな臭さを匂わす通話内容だが、そのスマホを持つ右手の傷跡が濃さを増していく。
アドレナリンの影響によるものなのか、それとも別の要因なのか……。
「あ?……いや、ゲートカラーはまだ分からねーよ。とりあえず、
度々出て来る謎ワードはさて置き、この男は何を感じ取ったか、険しい表情で空を見上げる。
臓物のような赤黒い曇天に響いていた怪音は、フェイドアウトし、緩やかに鳴りを潜めていく。
その怪現象は、2011年頃から世界各地で度々確認されている。
様々な推論や憶測が立てられてるが、明確な原因は不明。
その現象に思い至るのは「ヨハネ黙示録」に記された世界の終末を告げる「七つのラッパ吹きの天使たち」
そのラッパは、一つ吹くごとに地上に破滅や大異変を齎していく。
果たして記述通り、世界の終焉の始まりを示唆する破滅の予兆なのか? 或いは、新たな時代の幕開けを告げる一陽来復、
──いずれ人々は知ることになるであろう、その意味を。
その現象をキリスト教圏では、畏怖と畏敬の念を込めてこう称している。
アポカリプティックサウンド【終末の音】と──。
その終末の音が消失した直後に大地は鳴動し、大きく揺れ動きだす。
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ!!
「なっ!? これは地震か!? ここはニューヨークだぞ! 今までこんな事は!!」
「ヤバイヤバイ! 天変地異だ! 俺たち、ここで死ぬのか!?」
「オーマイガー! 洗濯物干しっぱなしだわ!」
「それ、地震関係ないだろ!」
「落ち着ついてくれー! 僕は日本人だ! このぐらい日本じゃ普通だかっ…て、聞いちゃいねぇ……」
初めて地震を経験する者が多くいるのであろう、人々はパニック状態。
それを抑えようと、現地滞在であろう日本人が大声を張り上げるが、この突然の騒動で誰も聞いていない。
ガシャーン!!ガシャガシャン!!
「きゃああああああああああ!!」
「建物の窓のガラスが割れたぞ!! 頭、気をつけろー!!」
「だぁっあぶっ!これで割れんのかよ! 耐震性能の差か? 強化入ってないだろうなこれ?……ってか…止んだようだな」
突如起こったこの地には希少な地震は、被害は程々に収まったようだ。
「……なぁ、あんた日本人って言ってたよな…?」
「え? ああ、そうですけど……それがどうかしましたか?」
ボクサー犬を連れた地元ニューヨーク市民であろう、ワイルドなお爺が、その日本人の背後の方角を、目を見開き凝視しながら尋ねて来た。
「……日本じゃ地震が起こった後、あんなものが出現するのか?」
「へ?」
その日本人は、ワイルドお爺にそう促されて背後を振り向くと、不可思議な空間の歪みが生じていた。
「……何だよこれ?」
その空間の歪みは色づき始め、円形状の巨大な蒼き光の渦が現れた。
そして、その異様な光景を人々が固唾を飲んで呆然と見守る中、その光の渦から巨大な‶何か〟が姿を露わにした──。
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