ならず者視点2 公爵令嬢を攫おうとして一撃で返り討ちに遭いました
俺は早速黒ずくめからの情報を元に公爵令嬢の誘拐計画を立てた。
何でもターゲットのフランとかいう公爵令嬢は魔術も結構使えるらしい。
仮にも公爵令嬢をターゲットにするのだ。失敗することは許されなかった。
そして、成功しようが失敗しようが、ことが終わった後は高跳びしないと命がない。
さすがの俺もその事は判っていた。前金を元に高跳びの計画を立てる。
そレと同時に令嬢の誘拐計画を立てた。
令嬢を誘拐するのは誰か王立学園で親しい奴を拐って来て、それを囮として釣り出すのが、一番確実だと思われた。
ターゲットを5人位に絞って、早速、配下の者を王立学園の周りに配置する。
メラニーとかいうバロー商会を経営している男爵家の令嬢が第一候補だ。こちらは実家からも身代金が取れる。ついでノエルとかいう文官の娘とオリーブとかいう孤児院の娘、それとソレンヌとかいう宿屋の娘とヴァネッサとかいう平民の娘だ。
バロー商会の娘は捕まえれば儲かりそうだが、護衛もしっかりついているということでなかなか難しそうだった。後は平民の娘が出てきたところで、いかにうまく拐うかだ。
学園の周りに5人程、怪しまれないように物売り等に変装させて、待機させること3日で、ヴァネッサという小娘が出できた。
連絡が来て、慌てて準備すると、なんと小娘は我らのアジトの直ぐ側まで歩いてきてくれたのだ。
つけている者がいないのを確認して、小娘が人通りの切れた寂れた一角に足を進めた途端に、馬車を進める。
扉を開けるや否や、配下の者に囲ませて、
「な、何なの」
悲鳴をあげようとした小娘に薬を嗅がせて、気絶させると、あっという間に馬車に連れ込ませた。
そして、そのまま、アジトに運んだのだ。
アジトに連れ込むと、そのまま後手に縛らせた。
こんなに簡単に事が進んで拍子抜けした。
さすが王立学園の女生徒だ。
俺が顎に手をかけてよく見ると結構可愛い娘だった。
「ううう」
小娘は呻き声を上げて目を覚ました。
「あなた達、何なの? 私を拐ってどうしようというの」
小娘はなかなか元気が良かった。
「結構、べっぴんだな、姉ちゃん」
俺がそう言って顔を掴んでこちらに向けると
「止めて」
小娘は今にも泣きそうな顔して嫌がった。
「いずれは娼館にでも叩き売ってやるが、その前に俺達の相手でもしてもらうぜ」
俺がニヤリと笑って言うと
「や、止めて」
小娘は後ろに下がろうとするが後ろは壁だ。
「ふん、嫌がる様もそそるぜ」
俺がニタリと笑うと、目を目一杯見開いて涙目になっていた。
その胸もガキの割に大きい。触って悲鳴でも上げさせようと思ったのだが、
「兄貴、お楽しみは後にして、この先どうするんでさ」
ドニの野郎が邪魔してきた。
「煩いな、良いところなのに」
思いっきりドニの頭を叩いた。
「痛て!」
「フランソワーズとかいう、小娘にこの手紙を届けてきな」
俺は前もって用意した手紙を渡した。
「どうやって渡すんで」
頭を押さえてドニの野郎が聞いてきた。
これだから馬鹿は困る。
でも、いい加減な奴に連絡させて、学園で怪しまれて捕まったら元も子もない。
抜けているドニなんかにさせたら目も当てられない結果になるのは確実だ。
「キリー」
俺は一見した感じ真面目そうな子分を呼んだ。
「へい」
「お前これから学園の近くに行って生徒を捕まえて、『フランお嬢様にこの手紙を渡してほしい』ってお願いしろ」
「解りました。生徒さんに渡せば良いんですね」
「そうだ」
子分は早速出ていった。
「ちょっとあんた達、フラン様って、フランソワーズ様に手を出そうというの」
小娘が驚いて聞いてきた。
「ふんっ、そうだな。お前を餌にして来ていただくのさ」
俺は笑って言った。
「そんな、フラン様に手を出したら命がなくなるわよ」
小娘は自分の身の安全を気にもせずに言ってきたのだ。
「お前、人のことよりも自分のことを心配したらどうなんだ」
俺はそう言うと女に迫った。
「キャーーーー」
女が大声を上げたのだ。
いくらなんでも、今バレたら不味い。
俺は慌てて娘の口に手を当てて声を挙げられないようにする。
そして、ナイフを出して娘の喉に突きつけたのだ。
「ヒィ」
娘はナイフの冷たさに気づいて声を上げるのを止めた。
「そうさ。今すぐ殺されたくなかったら、静かにしな」
娘が大人しくなったのを見て、俺は手を離した。
娘の顔が恐怖に歪んでいた。
「静かにしていればすぐに殺したりしねえさ」
俺はそう言うと笑ってやったのだ。
しかし、待つのも退屈だ。
キリーからはなかなか生徒に渡したという連絡が来なかった。
キリーの野郎が、渡してからフランとかいう小娘がここに来るまでに最低でも1時間はかかるはずだ。
俺は目の前で震えている小娘を見た。
きれいな顔が泣きそになっていて俺は娘をいやらしい目でねめ回した。
俺は女に近づいた。
「えっ」
娘は慌てて下がろうとする。
しかし、後ろは壁だ。
「嫌、来ないで」
娘が叫ぶが、そんなのは無視だ。
俺はそのまま娘に襲いかかったのだ。
「嫌、止めて!」
娘は必死に抵抗しようとした。
それが俺の興奮を高めるとも知らずに。嫌がる女を抱くことほど嬉しいことはなかった。
俺は娘の制服を引き裂いてやろうと手を伸ばした。
しかし、その時だ。
ドカンッ
門の方から大きな音がしたのだ。
「な、何事だ」
俺は慌てて立ち上がった。
子分たちも慌てて立ち上がった。
俺は玄関に向かった。
その瞬間だ。玄関の大きな扉が吹き飛んだのだ。
そして、俺は飛び込んできたでかい馬の蹄が見えたと思った時には顔を踏み潰されていたのだ。
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