イエクラ国王の言葉にプッツン切れた私が国王を張り倒してしまいました
私は十分の航海でアルメリア王国が見えるという船長の言葉を信じたのだ。
そして、十分後、確かにアルメリア王国は見えてきた。
私はそれを拡大投影した。
「何なのこれは?」
私はそれを見て驚いた。
アルメリアの王都はいたるところから黒煙が出ているし、山の中腹に巨大な穴が開いているのだ。
それに王宮と思しきものも大きく破壊されていた。
「何か隕石でも落ちたみたいね。メラニーが願ったから、神様が隕石を落としてくれたんじゃない」
私は完全に他人事だった。
「宮殿も全壊している」
王太子も驚いて言っていた。
「これなら今攻撃したら占領できるんじゃない」
メラニーが言ってくれるんだけど。
「だからメラニー先輩。姉上がそんな事したら内政干渉になりますから」
「そうですよ。陛下に洒落にならないほど怒られますよ」
ヴァンとジェドの二人は必死に私を止めようとする。
「でも、これどう見てもフランがやったんじゃない?」
その二人を前にメラニーがとんでもないことを言ってくれるんだけど。
「そんな訳ないでしょ。私まだ何もしていないじゃない」
私が言うが、
「でも、あんたが戦いの前に全力で狙い撃った方角が丁度アルメリア王国よ。ねえ、ガスペル」
「確かに」
「でも、何キロ離れていると思うんだよ」
「いくらフランでも無理よ」
ディオとシルビアが言ってくれるんだけど。
「この跡見たらたしかに姉上が暴れたようにみえるけど、どれだけ距離があるんだよ」
「でも、こんな攻撃フラン以外に誰か出来ると思うの?」
「確かに、昔、何かの拍子に姉上が魔力暴発させて山くり抜いたのは六十キロくらい離れていたけれど」
「じゃあ、全力出せば、これくらい出来るんじゃない」
メラニーが当然とばかり言ってくれるんだけど。
「いや、まさか、そんなはずは」
私は少し青くなった。絶対に自重する予に何回も陛下には釘を刺されたのだ。
でも、これをみて、皆の話を総合するに私がやった可能性が確かに高い。
「姉上、知らずに攻撃したなんてこと陛下にバレたらまずいよ」
ジェドが言ってくれた。
「たしかにそうよね」
私は頷いた。これは全員に口止めして知らぬふりをしようと私は心に決めたのだ。
「あれ、何か魔導通信が入ってきたよ」
ガスペルが教えてくれだ。
「こちらは自由アルメリア軍のチュイ・ベナベンテ。我々は神の奇跡の攻撃で牢獄から脱獄出来た。今こそ全国民よ立ち上がってほしい。そして、恐怖政治をしく悪辣非道のイエクラを倒すのだ」
「チュイ、チュイってあのチュイか」
ガスペルを押しのけてベルナルドが無線器を掴んで叫んでいた。
「えっ、殿下、殿下ではありませんか」
チュイと言われた男が涙ながらに無線機に叫んできた。
「おい、皆。殿下が我らを助けに来て頂けたぞ」
「嘘だ」
「本当だ。エリアス殿下だ」
「いや、あの方はエリアス殿下のお子様のベルナルド殿下だ」
「えっ、そうなのか」
「どちらにしろ、殿下が援軍を率いて駆けつけてきて頂けたぞ」
しかし、突然魔道無線がブラック・アウトした。
「ふんっ、貴様がエリアスの息子のベルナルドか」
いきなり画面に太って禿げた男が現れたのだ。
「お前はディエゴ・イエクラ」
なるほどこの男が諸悪の根源、アルメリアの王か。
私はまじまじと見た。
「わざわざ捕まりに来るとは馬鹿な男よ。ついでにルートンの王女と元王女も一緒だな。後でじっくりと可愛がってやる」
男が笑って言った。
「ふ、フラン様、後ろから10隻来ます」
見張りのベニートが叫んで来た。
「ん、フランだとゴリラ女もそこにいるのか?」
「ゴリラ女?」
私は一瞬何を言われたか判っていなかった。
「ゴリラ女って、まさかフランのこと」
何故かいるピンク頭が喜んで聞いているんだけど。
ええええ! 私?
「そうだ。確か、そんな名前だろう。公爵家の娘というのは間違いで、実際は、魔の森に捨てられていた原始人の捨て子だそうではないか」
「えっ、そうなの。初めて聞いたわ」
ピンク頭が嬉々として聞いているんだけど。ちょっとそれはどう言うことよ。
「顔も化け物のような顔をお面で隠しているそうだな。王太子がガサツで我儘三昧のゴリラ女がいなくなってせいせいしていると我が孫娘に嬉々として話していたそうだぞ」
その瞬間に私は完全にプッツン切れたのだ。
アドの奴、私のことをそんなふうに思っていたんだ。
よく判った。
バキン!
私はパンチ一撃で魔道具を壊していた。
「ちょっ……」
文句を言おうとしたガスペルは私の顔を見た瞬間慌ててその場に伏せていた。
「誰がゴリラ女だって。私がいないからせいせいしているだあ」
私はギリリとガスペルがくれた魔道剣を握りつぶしていた。
「ヒィィィィ」
皆、瞬時に私から飛び退る。
「ヴァン、ツルピカの野郎はどこにいる?」
「えっ、義姉上、それは……」、
私がギロリと睨むとさすがのヴァンも黙った。
「フラン、あの青い大きな船よ」
横からメラニーが教えてくれだ。
「ちょっと、行ってくるわ」
私はそう言うと飛び上がったのだ。
「えっ、姉上、ちょっと」
ジェドが止めようとしたが、無視した。
ドシーーーーン
私は船の土手っ腹を突き破って船の中に突入した。
「げっ、ゴリラ女」
そういった兵士を一瞬で張り倒す。
兵士は壁を突き破って空に飛んでいった。
「ハゲの国王はどこにいるの?」
私はもう一人の兵士に聞いた。
「ヒィィィィ」
兵士は思わず私の前から後ずさった拍子に後ろの扉が開いた。
そして、そこに平然と座っているイエクラがいたのだ。
「き、貴様、ゴリラ女」
国王は驚愕して私を見た。
しかし、その言葉を聞いた瞬間私の爆裂魔術が国王を襲ったのだ。
「ギャッ」
しかし、それは警備の兵士によって防がれた。
黒焦げになった兵士が倒れる。
「ちょっと、待て」
国王は真っ青になって後ろに下がろうとする。
しかし、後ろは壁だった。
「アドがあんたの孫娘の胸に顔を擦り寄せてあんなゴリラ女いなくてせいせいしたって言っていたのは本当のことなの」
「そうだ。本当のことだ。俺は孫娘からはっきりとそう聞いた」
「有難う。あなたには今まで散々世話になったわ。最初にあなたの部下の海賊にも襲われて、友達まで誘拐してくれて、果ては演劇の最中に私まで殺そうとしてくれたのよね。お礼をしなくちゃね」
「いや、お礼なんてしていただくなくても」
必死に男は愛想笑いをしたが、
バシーーーーン
次の瞬間、切れた私は張り手をディエゴに炸裂させていた。
ディエゴは壁を突き破って戦闘中の騎士と自由アルメリア軍との間に叩きつけられていたのだ。
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ここまで読んで頂いて有難うございます。
明日中には完結する予定です。
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