第一王子のお菓子作戦に許さざるを得なくなりました
「酷いと思わない!」
その後、私は散々メラニーとノエルに愚痴ったのだ。
「確かに、私は胸はないけれど、それをペチャパイって言うなんて」
「本当よね。殿下もその事をわざわざ言うことはないと思うわ」
ノエルは憤慨して怒ってくれた。でも、そのノエルの胸は揺れているんだけど・・・・。
「でも、殿下はペチャパイと言っていないわよ。言ったのは帝国の皇女でしょ」
メラニーが修正する。
「それはそうかもしれないけれど、胸がないってはっきり言ったわよ。ペチャパイと同じじゃない」
私は言い返した。
「それはそうだけど、事実じゃない」
「事実でも言っていいことと悪いことがあるわよ」
メラニーにノエルが言い返してくれた。
「ありがとうノエル。あなただけだわ、私の味方は」
私はそう思っていたのだ。
でも、翌朝、アドはまたしても、食堂の前で待っていたのだ。
「フラン、申し訳ない。気にしていることを言ってしまって」
そう言うとアドは花束を差し出してきたのだ。
「ふんっ」
私は全く無視して食堂の中に入ったのだ。
でも、何故か後ろの二人はアドに捕まっていた。
中々入ってこない。
何しているんだとイライラしながら待っていると、なんと二人して花束とお菓子の箱を持ってきたのだ。
「な、何に受け取っているのよ」
私がぶすっとして言うと
「ごめん、フラン。だって殿下ハッピ堂の発売前のお菓子を持ってきてくれたのよ。皆さんで、どうぞって。だからフランも食べましょうよ」
何、ハッピ堂の新作お菓子だって。
私は目が点になった。
あのハッピ堂の新作お菓子。絶対においしいに違いない。それも発売前に持ってくるなんて、あそこは権力には負けないはずだ。アドは何やったんだろう?
私には興味しか無かった。
二人は食堂に座ると、早速包装紙を開け始めた。
包装紙を開けた箱には『アツアツ二人』とデカデカと書かれている。
「な、なにそれ」
私は呆れていった。
「何でも、恋人同士のお菓子らしいわよ。好きな子に上げれば想いが叶うに違いないし喧嘩していてもこのお菓子を上げれば仲直りできるに違いないって」
ノエルがそう言いながら説明した紙をくれた。
そして、その紙を見て私は絶句したのだ。
そこにはデカデカと書かれていたのだ。
『第一王子殿下とルブラン公爵令嬢の婚約10周年記念』と
「な、何よこれ」
私はなんとか立ち直って聞くと
「ハッピ堂の100周年記念の一環で売り出したようよ。アツアツのお二人の婚約10周年記念とハッピ堂の100周年を記念してって書かれているから」
「いや、そんなことよりも何よ。これ」
私が10周年のところを指さして言う。
「夏休み二人でイチャイチャしまくっていたでしょう。ハッピ堂にも二人で並んでいたじゃない。その時に社長からなにか言われなかった?」
メラニーの声に、そういえばその時に出てきた社長に「いやあ、政略結婚で10年も経つのに、アツアツで、羨ましいですな」って言われたような気がする。
「お二人のアツアツを記念してなにかお菓子でも作れたら良いのですが」
ってその後言われて
アドが、「別にかまわないぞ。まっさきに試食させてくれたら」
って言っていたような気がする。その時はそんなに気にしなかったのだ。冗談だと思っていたし・・・・。それが出来てきたなんて聞いていないんだけど。
これがその試食品なわけ。
「あっ、可愛い」
包装の袋を開けて、ノエルが取り出したお菓子を見て私は絶句した。
「見て見て、これ絶対にフランと殿下よね」
ノエルが言う。
そこにはデフォルメした寄り添う私とアドの姿のお菓子があったのだ。
ウッソーーーー、こんなのお菓子になっちゃったの。信じられない。
私は真っ赤になってしまった。
「あっ、美味しい」
ノエルは私の姿をバリバリ食べながら言ってくれたのだ。
そして、あろうことかアドはこれを全クラスに配ってくれたのだ。
それも、私とアドの婚約10周年記念だとか言って・・・・
「フラン、お菓子頂きます」
「わあ、フランとても可愛い」
「フラン様。殿下とアツアツですね」
皆好き勝手に言ってくれる。
私は恥ずかしさでもう真っ赤だ。
でも、たしかに私もその場にいて、否定しなかったのだ。私とアドのアツアツお菓子なんて恥ずかしすぎる。
お菓子の二人は本当に幸せそうに寄り添っているのだ。
アドはそのお菓子を手にして謝ってきたのだ。
「フラン、ごめん、本当に悪かった」
そのお菓子を前に突き出しながら謝ってきたのだ。
こんなのが出てはあまりつっけんどんにできないではないか・・・・
私は3日後には仕方なしに、アドを許していた。
このお菓子も美味しいし・・・・
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます