隣国の王子が帝国の王女に張られていたので助けたら、第一王子が庇ってイチャイチャしたので殴りました

あの後、ベンをアルマンに謝らすのがまた大変だった。

ベンは「俺が謝っても許されるわけはない。また殴られるのは嫌だ」とか、散々愚痴愚痴言ったのだ。



「あんまりぐずぐず言うと、母からあんた所の国王に言いつけるわよ」

私がそこまで言って初めてベンが謝った。

アルマンもアルマンでへそ曲げていたけど、「男がいつまでもグチグチ言っていない!」というノエルの言葉でやっと殴ったことを謝ってくれた。


そして、一番の被害者は私だ。何しろ壁を壊した事でフェリシー先生に延々二時間怒られ続けたのだから・・・・皆自業自得だって言うけど、ベンが悪いんだから、本当に!



でも雨降って地固まる。ベンが何とかクラスの中に溶け込んでくれた・・・・と思いたい。


「おーい、ベン。授業の座席とっておいてくれ」

「おーい、ベン、購買でおにぎり買ってきてくれ。」

「おーい、ベン。これ持っていってくれ!」

なんかぱしりさせられているんだけど・・・・

一国の王子をぱしりに使っても良いのか?

そうメラニーに言ったら本人が喜んでいるから良いんじゃないの。とメラニーに返されてしまったけど。


「あなた、何故、平民にぱしりなんてされているのよ!」

私がメラニーらと放課後寮に向かっていたら、中庭の東屋から叫び声が聞こえた。


そして、その後に

パシンッ

という大きな音が響いた。


私がそちらを見ると、帝国の皇女がベンを張り倒したところだった。


ベンが吹っ飛ぶ。

取り巻きがどっと笑った。


ベンが悔しそうに立ち上がった。

「あんた、何その態度、皇女の私に逆らうの?」

皇女はそう言うとつかつかとベンに近寄って、もう一発ベンの頬を張った。


「ちょっといい加減にしなさいよ」

更にもう一発叩こうとしたところで、私が強引に二人の間に入った。


皇女の手を押さえる。

「何すんのよ」

王女がきっとして言う。


「それは私の言うことよ。さすが傍若無人の帝国の皇女様は違うわね」

「あなたに言われたくないわ。あなたの母親のせいで帝国の王宮は壊滅したんだからね」

「ほう、それでさらに弱い国の王子をいびっているの。恥を知りなさいよ」

「何言っているのよ。私の邪魔するのはおやめなさい」

皇女は更にベンを叩こうとした。


私はピキッとした。


「いい加減にしなさいよ」

私はドンと皇女を押した。


「きゃっ」

皇女は私に弾き飛ばされたみたいに飛んで行って、そこにたまたまいたアドを巻き込んで倒れ込んだ!

「きゃっ、殿下! 助けて下さい!」

ぎゅっとアドに皇女が抱きついたのだ!


二人は倒れ込んだまま、抱き合う形になったのだ。


「な、何をしてるのよ!」

私はその姿を見て完全に逆上した。何故、アドが抱きつかれて喜んでいるのだ。皇女はこれ見よがしに胸をアドの顔に押し付けている。

「皇女殿下をお守りするのよ!」

取り巻きたちが私とアドの間に入る。

「姉さん。殿下と皇女はハレンチな関係になっているんじゃない?」

私はベンの言葉に更に逆上した。


「キャーーー、殿下、脳筋女に殺されます!」

皇女が更に胸をアドの顔にこれ見よがしにプルプルすり付ける。


その行為が更に私をヒートアップさせた。



「アド、どういうつもりよ」

「いや、フラン、これは不可抗力で・・・・」


私は間にいた女どもをどけて、アドの顔を皇女の胸から引き剥がした。


「言うことはそれだけなの?」

「いや、だからフラン・・・・」

プッツン切れた私は、必死に言い訳するアドの顔面にアッパーを御見舞したのだ。


ズドーーーーン!

大きな音とともにアドは隣の校舎の壁に次の瞬間、突き刺さっていた。


私は皆が唖然とする中で、完全に切れて寮に帰っていったのだ。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る