第93話

 「それでは7日後、よろしくお願いいたします」


 話あった結果、私の回復魔法を見せるのは7日後となった。

 聖女を任命する際、回復魔法を見せなければならない有力者を呼び戻すのに最低でもそのくらいはかかるらしい。それまでの7日間は教皇聖下やセサルさんとの晩餐をしつつ、聖都を観光するつもりだ。ノアとネージュも丁重にもてなすと言われているとはいえ、7日間も外に出られなかったらストレスが溜まるだろう。聖都の美味しいものを食べたいって言ってたしね。


 「明日はゆっくり過ごして旅の疲れをとって、明後日からは観光をしようか」


 「はい! 初めての聖都、楽しみです」


 ウィルフレッド様も同じように考えていたみたいだ。










 「リアっ! もうこんなところは飽きたぞー!」


 「飽きたぞー!!」


 「ノア、ネージュ……。まだ3日目だよ……?」


 3日目の朝にノアとネージュを迎えに行くと、広い部屋でフッカフカの絨毯に寝そべり、大きくて豪華なお皿に乗った肉やフルーツに囲まれていた。

 ブラッシングもされているのか、毛艶も良い。


 他の人から見たら羨ましがられるような生活だが、ノアとネージュにはたった3日でも退屈だったようだ。


 「今日は外に出て観光するよ」


 そういうとガバッと起き上がり、「「ごはんだーーー!!」」と叫ぶ。


 「いやいや、二匹とも今までいっぱい食べてたんでしょ?」


 「何を言うっ! 運ばれてくるものをただただ食べるのと、自らの鼻で美味い飯を探すのは大違いだぞ!」


 「そうだ! 別物だっ!」


 「はいはい」


 そんなことを話していると、今回観光に同行してくれることになった聖騎士団長のダーヴィットさんがおすすめの場所を教えてくれる。


 「中央広場に行けば色々な屋台が出ておりますよ」


 「おぉ! リア! 中央広場だっ!」


 「中央広場に行くぞー!」


 もうこうなったら勢いは止まらないだろう。大教会のステンドグラス、見たかったなぁ……。

  

 「オレリア、また明日もあるさ」


 「そうですよね。今日は食べ歩きを楽しみます」


 中央広場に着くとノアとネージュが嗅覚をフル活用してお店を選んだため、どれも美味しいものばかりだった。

 王国にいた時には他国から輸入された物も食べていたけれど、屋台で出る物とは違うから初めての食材も結構あったし、国特有の味付けや食材があって面白かった。

 ……が、流石に7日間ほとんど屋台は飽きた。

 次の日には大教会に行けたものの、それ以外はずっとノアとネージュが美味しいお店を探す日になってしまった。

 本当は2匹は初めての教国で狩りがしたいと言ったけど、流石にそれは叶えてあげられないからね。

 ウィルフレッド様には連日食べ歩きに付き合わせてしまって申し訳なかったけれど、ウィルフレッド様もウィルフレッド様で以前教国にきた時は街歩きはできなかったからと楽しんでくれたみたいだからよかったんだけどね。


 「さて、あとは聖女の任命式だね」

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