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「…おい、雨音?」
目の前の彼が、心配そうに私を見つめている。
「ああ、ごめん。何だっけ?」
「…大丈夫か?体調悪いなら、無理せず帰っても…」
「ううん。大丈夫よ。ちょっと寝不足なだけ」
「ほんとか?大丈夫なら良いんだけど…」
「それで、何の話だっけ?」
少し温くなってしまったハーブティーを啜る。
私達が居る喫茶店は、海沿いにある、木材を基調としたレトロな店となっている。
この男、人としては何かと難ありなのだが、こういう所で趣味が良いのが、個人的には、とても鼻につく。
「あぁ、だからさ、結婚式の挨拶、頼みたいんだよ」
「…そう言えば、やっと結婚するんだっけ?あなた達」
「そうなんだよ!やっと!ほんと、ここまで長かった…。喧嘩とかもして、一時期はもう無理かもって、思った時もあったもんなぁ…」
「そんな事も、あったわね」
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