オー・マイ・ゴッド 私が好きになった人が変態フィロソファーである
森ノ内 原 (前:言羽 ゲン
私の好きな人は…
だだっ広く存在するキャンパス。オシャレなファッションを身に着付ける若者達。
教授と仲が良い人もいれば、共通の趣味を持った仲間と一緒に戯れている人。個性爆発している人、そして留学生。様々な生徒達がキャンパスを埋め尽くしていた。
キャンパス内に設置してある古代の人物が屈強な姿で立っているの像が聳え立つ休憩場に、私はある一人の人物を待っていた。
「待たせた。蜜樹」
クールな声量、大人の雰囲気を醸し出すボイスの男性が、後ろから私の名前を呼ぶ。
振り返ると、そこには私がずっと待っていた人物がこちらに近寄って来る。
はぁ、今日も格好いい。
キャンパスに吹き渡る風によってヒラヒラと靡く艶やかな黒髪に、透き通る程の白い肌で端正な顔立ち。細身の高身長に、今着用している白いデニムが似合う男性。更には、左腕にはオシャレな白の電子腕時計を装着している。
「あっ、先輩」
私が思わず、初めて出会った時に好きになった人。『
「……」
私は先輩を目の前に呆然としてしまう。そして目を見つめ合うと、思わず照れが出てしまっているのに気づいた。
「えっ、あっ、こ、これ!」
「おう、すまない」
私は先輩と出会ったのは、サークルである。昔から物語の世界に触れることが好きで、『文芸サークル』という名のサークルに参加した。主な仲間は、私と同じ物語が好きな人が集まり、本の購入、共有、実際に漫画を描く、物語の随筆などをしている。
先輩から、自分が所持していた本を貸してほしいと言われたので、今日の昼休みに渡す事になった。そして先輩が今取りに来たという訳だ。
「済まないな。助かる。今日はサークルが休みだから昼休みにでも借りようと思ったんでな」
「そ、そうですね!今日はサークル活動ないですから…先輩と一緒の時間が過ごせないですもんね」
先輩と一緒にいる時間が私の大学生活の中で一番の幸せ。サークルが何より楽しくいられるのもその一つである。
だから少しでも一緒にいたい為に、サークルがない日は少し残念である。
「…まぁ、そうだな」
「あの、今暇ですか?」
先輩が手持ちの鞄の中に本を仕舞う。
「あぁ、暇だが…」
「よ、よかったら今からどこかの学食でご飯食べませんか?」
「そうだな。そうしよう」
内心嬉しくなった。
私は今日決めている事がある。それは、『今日先輩に好きだと言う事を伝える』と。だから昼休みに昼食を誘ってみたのだ。
そして一緒に食べられる事からこの昼休みを利用して告白する。
「どこか決めているのか?」
「いえ、決めてません」
ニッコリと微笑んだ真人先輩は、おススメを紹介してくれた。
そこは私の知らない学食で、少々店内が小さい為あまり人が少ない事が多く、ゆっくりと出来る為レポート作成等の作業が捗るらしい。
そして連れて行ってもらった学食で、先輩の奢りだと言う事になり、ご馳走を頂いた。美味しかった。恐らく学食内で一番だった。
たわいもない話をしながらも、あっという間に食べ終わり、ご馳走して頂いた。
「この後も講義があるのか?」
「はい。後もう一限で今日は終わりなんです」
「そうなのか。実は俺もだ」
「えっ!?そうなんですか?」
「あぁ。金曜日はそんなに講義を入れてないようにしてある。一年の頃からそうしているんだ」
「私もです。金曜日は週の最後だから出来るだけ少なくしたいと思ってました。先輩と同じ考えだったんですね」
なんだか運命感じちゃう!いかんいかん、今から私は先輩に伝えるんだ!私の気持ちを!だからひるんじゃダメ!
両頬をパンパンと軽く叩いた。
「何をしている?」
「え!?あっ!次の講義も集中する為にやっただけです。アハハハハッ…」
「そうなのか。それ、なんか効果でもあるのか?あるなら興味がある」
「え?こ、効果ですか?単なる運動で言うストレッチ?的な?」
「……それが集中力を高められる方法なのか?」
「ま、まぁ人それぞれですけど。私はそんな感じですね。アハハ…」
「……そうなのか。俺にも効果があるかやってみる」
「え?」
先輩は私と同じように動作をする……と思いきや
バンバンバンバンバン!
「先輩やりすぎです!」
「そ、そうなのか」
思い切り力を入れて叩いた為頬が赤くなっていた。しかも高速でやっていたので、側から見たらただの変人である。
「じゃあ、もう時間だから先に行くわ」
「え?あっ……はい」
先輩はそのまま自分が次に受ける講義に向かう。
告白出来なかった……
たわいもない会話の後に、思い切って告白しようとしたら、私の変な動作のせいで変なくだりができて時間を取られてしまった。
「せっかく告白しようとしたのに…いや、出来るかも!」
私は思い付いた!帰りに出来るかもしれない!
私は今日この一限が終われば帰る事になる。先輩も同じだと言っていた。だからまた二人で帰る時に言えば!そうも思った。
先輩とは途中まで同じである。私の住んでいる所は電車で30分くらいである。先輩は自転車で来ているのだが、大学直近の駅までは帰り遠が同じである。そこでなんとか告白する事に決めた。
「よし!次こそは!」
私の中に新たなプランが出来上がったのだった。
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