第二十一話 戦いの末に
「けっ、のろけやがって」
「のろけてない!」
「のろけてなど!」
あ。
それにしても、
「お前の目的は何だったんだ?」
「さあ、な」
そう言うと
「許さん、許さんぞ……!
「なあ、もういいんじゃねえか」
「何がだ!」
バーラは倒れ伏しながらもまだ立ち上がろうとする。
「……ありがとうな」
え?
「なんだって?」
「おちょくってんのかてめえ! 二度と言わねーぞガキこら」
相変わらず怖いよ。でも悪いことを言われたわけではなかった気がする。
それからこの黒ローブ集団の総意であるバーラの目的を
こいつらの目的は【レイヴン】。そう呼ばれる、特定の人物を消すことを目的とした組織を潰すこと。だがいつどこでどんな人物を殺すのか、組織の実態、など多くの事ははっきりと分かってないという。
黒ローブ集団は元は普通の人間の集まりであり、共通するのは
黒ローブ集団が子どもを
今回おれことフレイツェルトを狙ったのは、レイヴンを追う上で”神権術”という単語に辿り着き、それを扱うと風の
そしてここからはおれの予想でしかないが、
「ガキのくせにくだらねえこといってんじゃねえぞ」
その事を謝ったらそう言われた。もう二度と言わねーぞじじこら。
ひと段落つき、
「ガキどもはあと数人いる。向こうの部屋だ」
「フレイツェルト君」
「なんですか」
「我らのことが憎くないのか。君の親族を捕らえ拘束し、君自身にもひどく損害を与えたはずだ。君には私を罰する権利がある。セネカさん、あなたにもだ」
ようやく落ち着きを取り戻したバーラがそう口にする。
「……分からないです。とにかくセネカを取り戻すのに必死だったから」
「フレイが良いのであればワタシからも何もない」
あんな話を聞いた後でこれ以上この人たちを痛めつけようとか、そんな感情は沸いてこなかった。
「ばかな! 最悪の場合死んでいたんだぞ!」
「でも死ななかったから。誰も死ななかったから、きっとこれでいいんです」
激しい戦闘で向こうにもケガ人はいるものの、死者は出なかったそうだ。
「君たちは、どこまで……」
そんなことを話している内に仮面の二人組が子ども達を連れて出てくる。何か急いでいる様子だ。
「話は済んだか! そろそろ脱出しなければここは崩れる可能性がある!」
そうだ、さっきまでの激しい戦闘であちこち壊れている。
「さっさと逃げよう! みんなも! 早く!」
「……お前たちは行け」
バーラはその場を動こうとしない。
「私はもう疲れてしまった。君に、いや君たちに会えて良かったよ」
そんな、と思った矢先、
ぼこっ!
んな!
「
バーラは
「てめえが逃げなくてどうする! 俺たちは! てめえを失って、残った俺たちはどうしろっつんだ! 最後まで責任持ちやがれ! ……うぐっ」
「僕がこの方を持つよ。君は—―」
「るせえ! さっさと歩きやがれ!」
◇◇◇
研究施設がガラガラと音を立てている。本体は地下にあるため外から視認することは難しいが、崩れている様子はその地響きと音で感じ取れる。
脱出後、黒ローブ集団はすぐに姿を消す。人数もいたからか、その様子を全く見れなかったわけではないが、あえて見て見ぬ振りをした。確信は無いが、もう乱暴なことはしないように思える。これもおれが甘すぎるのかな。
なにはともあれ、おれはセネカを取り戻し、仮面の二人組は子ども達を救出した。一件落着だ。
そうだな、あとは——。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます