腹話術師のトリスおじさんとたくや君

羽弦トリス

第1話飲食店研修での出番

「さて、座学が終わったところで息抜きに腹話術でお客様の生の言葉を聞いてみましょう。では、トリスおじさんとたくや君です。どうぞ~」

ここは、某居酒屋店長のエリア研修会。

拍手の中、トリスおじさんとたくや君が現れた。


「緊張してるかい?たくや君」

【ぜんぜん】

「お、慣れてるね~。たくや君はお父さん達と居酒屋行った事ある?」

【あるよ】

「たくや君はまだ、子供だから分からないかもしれないけど、いつも居酒屋で注文する食べ物は何かな?やっぱり、キッズプレートかな?」

【チャンジャ】

「何だって?チャンジャ?こりゃまた渋いね~」

【後、タコワサ】

「へえー、ジュースに合うのかな?」

【トリスおじさん!チャンジャには生ビールだよ!】


「合うよねぇー、ところでたくや君は何歳?まだ、子供だよね?」

【えっ、おじさん。僕は37歳だよ】

「えぇ~、こんな可愛らしい服着て37歳なの?」

【うん】

「ビールの後はなに飲むのかな?」

鍛高譚たんたかたん

「センスあるね~。その後、どうするの?」

【あのね、おじさん。僕はそんなに若くないから、側溝にリバースするの】

「ダメだよ!リバースするまで飲んじゃ」

【だからね、おじさん。毎日、パンシロン飲んでるの】

「そろそろ、お別れの時間かな?」

【店長さん、これからも頑張って下さい!今夜、飲みに行くからね。バイバ~い】


トリスおじさんは、控え室に戻った。

「いや~、今日はありがとうございました。これは出演料です」

店の広報の方がトリスおじさんに封筒を渡した。

帰りの電車の中で封筒の中身を数えた。

五万円入っていた。

そして、トリスおじさんは飲みに行った。

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