黒塗の八岐大蛇 ~負けれない少年は、人道外れでも勝利をもぎ取りたい~

白亜黒糖

序章 始まりの契約

プロローグ



 才能とは、ある個人の素質や訓練によって発揮される、物事をなしとげる力、とされる。

 

 誰もが一度は思ったことがあるだろう「あんな才能が欲しい」「もっと才能があれば」や「才能のある人間は違う」などと。


 だがそんなことを思う者でも大なり小なり何かしらの才能を必ず持つ。


 しかし、もし、もしだが本当に何の才能も無い人間が居るとすれば、どうなるのだろうか?


 答えは簡単、虐げられる、だ。


 人は自分や周囲と違う存在が居れば、何かしら変わった感情を抱くものだそうな。


 その違う存在が自分より優れているのであれば、羨望、憧憬、又は嫉妬、嫌悪などになるが、逆にその存在が自分よりも劣っている場合、人は基本的に悪感情ばかりを抱いてしまうらしい。

 

 もしその存在に対してそれ以外の感情を抱くとすれば、それは偽善者か、唯の馬鹿だろう。


 これは、その本当に才能の無いと思われていた少年がとある蛇と出会ったことから始まる物語である。



 ◆◇◆



 爆ぜる雷光、荒ぶる竜巻、墜ちる氷塊、踊りし業火。


 まるで天変地異の如き現象が悠々と起こる戦場。



「かかってこい、この雑魚共が!!」

(何故こうなってしまったんだろうか?)



 迫りくる兵士・騎士を薙ぎ倒している、この騒動の中心に居る少年は考える。

 何処で道を間違ってしまったのかと。

 全然この状況を求めていなかった筈だと、自分自身に問いかける。

 答えは既にある、が認めることは出来ない。



「マスター、頑張ってくださーい」

「ありがと、ミスティ」



 抑揚の乏しい少年の仲間の声援でその迷いの思考を断ち切る。



「おいおい、その程度かぁ?ゴミ公爵の下はやっぱりゴミしかいないのか?」



 前を向き、改める、己には敗北は許されないのだと。

 この邪道の限りを尽くしてでも、もぎ取らなければいけない勝利があるのだと。

 


「ヨル、一気に決めに行く」

<了解じゃ、暇じゃったし、大盤振る舞いと行くぞ>

「オーケー」



 少年はこの状況になった根本である、今や相棒と呼べる蛇が暇と言ったことに内心ブチギレつつも、意識を集中させる。

 求める勝利を確実にするものを。



―――死毒シドク八岐大蛇ヤマタノオロチ



 その言葉によって現れる奇跡は、正しく災厄であったと、後に少年の仲間は語ったとか。



 ◆◇◆



 その後にも数々の偉業を為し遂げさせられ、数多の災厄を乗り越えさせられ、世界に覇を唱えさせられるこの少年は―――



黒塗くろぬり八岐大蛇ヤマタノオロチ



 ―――と、そう呼ばれ歴史に名を刻むこととなる。


 尚、本人は非常に不本意、不満らしいが。



 黒塗の八岐大蛇 ~負けれない少年は、人道外れでも勝利をもぎ取りたい~

―――Read Start



□■□■□

※ここからは作者の悪ふざけが含まれる為、読み飛ばしても良いです。基本唯のネタです。


・蛇足

語り部「ハッハッハッハッハ!!!開始――グァッ!?」

蛇の王「五月蠅い、テンション上がり過ぎじゃろ」

語り部「仕方ないだろ、今作は違ってかなり設定凝ってるんだから」

蛇の王「まあ確かにの」

語り部「ヨルは良いなぁ、本編にセリフあって」

蛇の王「まだ一文しか喋っとらん、然もプロローグじゃし、というかお主はほぼ全てのシーンに出るのが確定しているじゃろうが、語り部なんじゃし」

語り部「はぁ~?キャラクターとして出るのと、語り部として物語を語るのが同じなわけねぇだろうがぁ!!」

蛇の王「それもそうか、済まぬな」

語り部「張り合いがない……まあいいか。蛇王、これから後書き一緒によろしく~」

蛇の王「はぁ~我、半強制的に突き合わされとるんじゃがの……よいぞ、共にやっていくとするか」

語り部「では皆様、これから本作をよろしくお願いします!」

蛇の王「あれ?我無視された?」

語り部「ほぼ毎話書くこの、無駄な後書きも楽しみにしていただけると幸いです」

蛇の王「わ、我を無視するな!」

語り部「今後とも御贔屓に~」

蛇の王「わ、我……もういい……お主なんか嫌いじゃ……」

語り部「え、ちょまっ!?」


この後、拗ねた蛇の王の機嫌を直すのに、数日要したことは秘密である。


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