VS黒竜
「何処からっ!」
叩きつけられた壁から直ぐに離れ、周りを見る。
「居ない?」
可笑しい、確実に何かに吹き飛ばされた筈だ。
それにあの感覚、白竜に尻尾で飛ばされたのと威力は高かったが同じだった。
つまり黒竜、竜なんだから同じようなサイズの筈なのに、あの巨体は何処に行ったんだ?
皆目見当もつかない。
「警戒するに越したことはなっ!」
又だ、体当たりをされたような痛みが背中から来る。
振り向いて確認するがさっきみたいに何も無い。
「状況から考えて隠れる能力があると仮定して、一体何処に居やがる?」
このままじゃ徐々に削られ続ける、死にはしないとしても時間の無駄だ。
取り敢えず物あると見えずらいから、消すか。
「
部屋の中心に炎の竜巻が起こり、部屋中の残骸が引き込まれていく。
ん?床が波打ってっ!
「どういうことだ?」
グォオオォォーーーーーーー!!!!!!
「うっさ!」
波打つ床から姿を現した黒竜は咆哮する。
見た目は、ホントに白竜をそのまま黒くしたみたいだ。
そして前は外だったからそんなだったけど、此処だと反響してうるさすぎる。
黒竜が床に潜伏しているのは解ったが無条件で潜れるわけ無いし、何故火災旋風で出てきたんだ?
一回止めてみるか。
グォラァ!「チッ」トプッ
爪で攻撃してから、水に潜るみたいに沈みやがった。
一体何を媒介に移動している?火災旋風を使用してる間は現れた訳だが。
炎…光……黒………なるほどねぇ、試してみてからだな。
「リボルバー、
大広間の天井へ銃口を向けて放つ。
下向いておこう。
パンッ! ドンッ ドプンッ
「当たりだなっ!」
丁度喋り始めてから攻撃してくんなよ。
だけどこれで黒竜が何を媒介に潜伏、移動してるか分かった。
答えは、影だ。
さっき、この空間に影の無くなるくらいの光量で光るように魔力を込めて
その光で影が無くなった瞬間のみ黒竜は出現し、又潜るように消えた。
これで何処に居るか分かったが、攻撃手段がなぁ。
魔法は杖の形態じゃないと使えないし、さっきの方法でもタイミングがムズイ。
後、俺には目標がある、白竜を傷つけず倒したなら黒竜も同じように倒したい!
「妥協なんて許さん!」
(変なとこ拘るよねぇ)
あ、リュミス様見てたんですか。
(当然さ、いつも見てるよ)
それはそれで嫌だな、プライベートがあるし。
(君が本当に嫌がるだろうところは見ないからさ、まあ昨日の混浴は見たけどね)
いや、アウトですよ、それ。
取り敢えずその話は、置いておいて目の前の黒竜に集中しよう。
今も、潜伏と攻撃を繰り返してきてるからな。
でもどうするか、まだ俺は
俺の何かが不足してるのか、将又黒白が適応してないだけなのか。
理由が何だろうが、今できないのには変わらないから出来る中でやるしかない。
そして、やるなら銃だ、光と同時に一撃必殺の攻撃を放てるかもしれないから。
というか別の場所を同時に攻撃できるの今の所銃しか無いし。
問題は弾に使う魔力だ。
さっき全部燃やしちゃったから、
一応マナポーションもあるけど、それも限度がある。
何度もミスは出来ない。
(大丈夫だって、僕の使徒だから一回で終わっちゃうよ)
何でそう要らんプレッシャーをかけてくるかな。
まあ、一回で終わるに越したことは無いですけど。
じゃあ、準備を始めますか。
「攻撃を回避しながら、最適のタイミングを探そう」
分離、左の白に閃光、
込める魔力は1000。
ヒュウゥーーーーーー!!
チッ、この音ってことはブレスが来る。
「極撃…はあっ!マズッ!ぐあっ」
痛ったぁ!!
ブレスと同時に五本の黒い槍が飛来し、回避をしたが一本が俺の左腕を貫く。
腕の内側から焼ける様な痛みが来る。
やっば、白を落としちまった、そしてどっちみちこの腕じゃ引き金を引けねぇ!
治せなくは無いが、あいつがその時間をくれるかは別の問題だ。
打つ手が無ぇな。
「過去一ヤバいかも」
(いやいや、別にレイなら『
「え?武器主で?」
(やっぱり忘れてたんだね)
そんなことできんの!?
(前に自分で言ってたし、やってたよ?武器主は武器を意のままに
操る?扱うのと差無くないですか?
(あるさ、スキルと装備の実験の時は
ん~と、ん~と………思いだしたっ!確かにそうだ、めっちゃやってたわ!
(武器主は元々、多対一の戦闘用で戦場の武器を操り、一人で軍のような戦いを可能にするスキルなのさ、その付随効果で武器の扱い方が解るってだけでね)
なるほど、俺はおまけの方が本来のスキルだと思ってた状態だったのか。
というか、この一週間で色々覚え過ぎたせいで頭から抜けてたんだろうな。
これを使ってあいつを倒す、取り敢えずやってみよ。
「《武器主・
お~これだわ、考えた通りに動く。
黒の方も動かせるし、触れてなくてもスキルの効果発動するっぽいな。
これならいける!
俺は動く右手で、戦壊無刃を引き抜き構える。
「戦壊無刃で攻撃の相殺、白の光で出現させ、黒で殺す、これで行こう」
黒で一撃で殺す為に準備をする、というか集中して発動させる。
「《
黒のリボルバーに更に黒が入る。
しっかり黒だけに使えたみたいだな。
後は、次のブレスまで凌ぎ切る!
後ろっ!
「破砕ッ!クソ硬てぇ!」
記憶庫で予測し、拳鍔で尻尾を殴ってみたが硬すぎる。
殴った腕が痺れてる、一応刃の方でもやってみるか。
次は爪ッ!
「絶断ッ!おっ、凄ぇな!」
黒竜の爪と戦壊無刃が衝突した瞬間、爪は綺麗に両断された。
何で同じ武器なのにこうも差が出るんだ?イメージの差なのか?
切れても良いとは思ってたけど、殴って傷が付くのは嫌だったからな。
先に爪をストレージに入れとくか。
「あと少しでブレスが来るはずだ」
白の銃口を天井へと向け、次の攻撃を待つ。
げっ、それも普通に来るのかよ。
床から、七本の黒い槍のみが出現し俺に殺到する。
然も、さっきより数が多い、どう対応しようか。
「飛撃・
槍の方向に等間隔で斬撃を放つ。
槍と斬撃がぶつかるとその周囲の空間がひび割れるように砕けた、そしてそこは元々何もなかったかのように戻った。
空間破壊って使ってるけど、どういう原理かは全然解ってないんだよな。
「もうそろか?」
ヒュウゥーーーーーー!!
「来たか、これの後がタイミングだ」
バンッ!
放たれたブレスを極撃の跳躍で回避する。
同時に飛来した槍を戦壊無刃で破壊し、武器主で白の引き金を引く。
タイミングを逃すな。
天井に弾が当たり広間が光に包まれる。
その瞬間、波打つ床から勢いよく黒竜が飛び出す。
……ここだ。
「《
黒弾が黒竜に当たり、吸い込まれるように消える。
成功、したか?
黒竜が床に衝突する。
ドコーンッ!!
黒竜は今度は沈まずにそのままだ、つまりは俺の勝ちだ!
にしてもめっちゃ揺れたな、そんな重たかったのか。
いや~リュミス様教えてくれなかったら終わってたかもな。
ありがとうございます。
(信者を導くのは神の仕事だからね、当然さ)
今日はもう黒竜を持って帰って休もう。
さあ、黒竜の許へっ!
「あがぁっ!痛い痛い痛いっ!」
急に左腕に途轍もない痛みが走る。
痛みに耐えられなった俺は床に倒れ、左腕を押さえてのた打ち回る。
これっ、てっ。
(さっきまでは集中状態だったから、感覚が麻痺してただけで普通なら一瞬で意識を失うよ?然も竜や龍の使う魔法には龍属性の魔力が混じってて、普通の魔法より威力が上で、傷を受けた者の感覚を上がて痛みを増させたり、他の魔力を喰らい治療を遅らせるとかの効果もあるよ)
そういうのは先にっ、言って、痛いんでっすけど!!!
(早く、《死》で殺した方がいいよ、どんどん強くなるからね)
それもっ、いやっいい!先ずは治療だっ!!
集っ中しろっ、落ち着け、いけるっ!
「《
ふぅーーーヤバかった。
何なら黒竜との戦いより焦ったわ。
痛みの無くなった左腕を見る。
「穴が無くなってるし、痕一つ無いな、流石だ」
(そりゃ僕の権能だからね、攻撃を受けた過去を殺すなんて朝飯前さ)
「そうすか……」
俺がやったのは、過去への死の付与。
俺が黒竜の槍に左腕を貫かれたという過去を殺すことで元々傷など無かったことにしたのだ。
改めて考えてもチートだな、権能半端ないわ。
「痛みで変な汗掻いたし、帰って今日はシャワーして寝よう」
全く、こういうことは先に言って欲しいものだ。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
「帰ってきたぁ~」
そんな時間経って無い筈なのに凄い久しぶりに感じる。
「これで、当初の目的は達成したな」
ユナさん達の注文は終わったし魔石のお土産もあるし、もう帰っても良いけど折角一週間取ってるから残りの時間は全力で楽しみますか。
明日はベリーナさんとスイーツ食べに行くしな。
後三日か、明日は良いとして残りの二日間何しようか?
まあ、それは明日考えればいいや!
「そういえば、まだあの銅の宝箱開けてないな…やるか」
無声発動の実験台にしようっと。
ストレージから取り出し、机に置く。
………『死ね』。
「いけたな」パカッ ポンッ
開けると何かが飛び出てきた。
何だコレ?
「オペラマスクって奴だっけか?…アレ?
白を基調とした紫の模様の入ったオペラマスクが出てきた。
然も、俺の分析が効かない。
ユナさん達以外で出来ないのは初めてだ、一体何なんだ?
でも調べようが無い、取り敢えずストレージに入れて置こう。
「これでやってないことは無いから今日はもう寝よう!マジで疲れたし」
疲れた時は寝るのが一番だしぃZZZzzzz………
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
リュミス・タナトス View
「ビナー、例の奴の準備出来てる?」
『はい、明日の朝に問題無く出来ます』
「そう、ありがとね、じゃよろしく」
『承知しました』
準備は整ったみたいだね。
レイはどんな方法でコレを切り抜けてくれるかな?
今から楽しみで仕方ないよ。
「僕の愛しい使徒、レイ、君は一体どんな世界を僕に見せてくれるのかな?」
君なら白でも黒でも無い、新しい世界を僕に見せてくれると不思議と感じる。
未来が楽しみで心が躍る、久しぶりの感覚だ。
だから、何時でも君を見ているよ、レイ。
「ところでビナー、もう一度言うが僕は
『リュミス様、それは無理があります、見た目がそれであっても中身は全然上なのですから、いい加減認めてください』
「い・や・だ・ね!!絶対に認めない!レイはそういう対象に見ちゃ駄目なの!もっとこうペット的な、愛玩動物的な感じなの!優しく虐めて遊ぶのが最高なの!」
『もうその時点で既にアウトなことに気付いてくださいよ!発言がもう変態です!少年趣味の時点でもアウトなのにさらに
「アウトじゃない!別に弱ったり痛がったりしてるレイが可愛いから敢えて必要な情報を後出しにしているとか、そんなことは断じてない!」
『それはもう言ってるのと同じです!』
「ぬぅ~このぉ~」
そんなことは無い筈だ、この僕がそんな事ある筈が無い!
これは、しっかりとした話し合いが必要みたいだ。
準備の時間ギリギリまでやってやるからね!
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