Chapter 1. 確率の問題
夏休みが明けたばかりのことだった。
俺たちは
なんの本を読んでいるのかと横目で表紙を盗み見てみると、どうやら『シャーロック・ホームズの
穂村に
しばらくページが
「——最近、夜になると旧校舎にユウレイが出るって
「へぇ意外だな。お前の口からそんな非科学的なモノの存在を肯定するようなセリフが出るだなんて」
仮にも推理部の部長らしく、科学を
しかし穂村はゆったりとカップを口に運びながら薄く
「いや、そうバカにしたものじゃないよ。もちろんボクだってユウレイ自体を信じている訳じゃないけどね。つまりは確率の問題なんだよ」
「確率?」
「そう、確率だよ。あり
残念なことに、
「……俺にはお前の言いたいことがサッパリわからん。なんだよ、その確率って」
「ふむ。簡単なことだよ、モリタニくん」
しかし穂村は笑みを深めた。馬鹿にするようにではなく、
「つまりは目撃されたユウレイという存在が本当に超常現象であるのか、はたまたただの自然現象に過ぎないのか、あるいは——」
穂村はそこでいったん言葉を切り、机の
「——あるいは誰かが
ああ、まったく素晴らしい笑顔だよ。穂村の考えていることが
「……それで?」
俺は文庫本に
「そんな噂を聞いたお前はどうするんだ?」
だがそれはまったく意味のない質問であり希望だった。形式的な疑問に過ぎない言葉。部室で話題にしてきた時点で、穂村の答えは決まっているのだ。
探偵という存在は自己中心的で、
「
「——むろん調査に行くよ」
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