【本編完結】美女と魔獣〜筋肉大好き令嬢がマッチョ騎士と婚約？ ついでに国も救ってみます〜

第八章 決戦！ペリドット領

第64話 学院再開

「おはようございます、オリビア様」

「おはよう、リタ。もう朝なのね……」

　朝。オリビアは寝ぼけ眼を擦りながら、支度にきた侍女リタに挨拶をした。

　ああ、戻ってきたんだった。いつもとは違う室内を見渡し息を吐く。

　レオンとリアムの訪問があってから約十日経ち、昨夜オリビアは学院の寮に戻っていた。今日から授業が再開される。

「いよいよですね、オリビア様」

「そうね。なんだか気が重いわ。昨日の地点で結構いろんな人たちに注目されていたみたいだし」

　オリビアは昨日寮に戻った時のことを思い出した。クラブ棟炎上事件のときに、レオンとともに九死に一生を得たということで、どうやら噂になってるようだった。見せ物を見るような好奇の目は、オリビアにとって気持ちのいいものではなかった。

「こんなとき、同行できないのが悔しいです。オリビア様、何かあったらジョージを盾にしてやり過ごしてくださいねっ」

　リタがグッと両手で拳を握っていた。そうだ、自分には仲間がいるのだ。学校にはジョージだっている。オリビアは目に力を込めているリタに、ゆったりとした笑みを返した。

「ありがとう、リタ。そうね。いざとなったらジョージを盾にして寮に逃げ帰ることにするわ」

　その後、支度を済ませたオリビアはジョージと合流し登校した。教室に入るとクラスメイトの視線が一気に集中する。

「おはようございます」

「はよっす〜」

　こういうときこそ、いつも通りに。オリビアは教室に入る際、いつもと変わらぬ挨拶をして微笑んだ。ジョージもそれに続く。席につくとオリビアはクラスメイトたちに囲まれた。

「クリスタルさん！　ご無事でしたのね！」

「心配しましたわ！」

「みんな避難したまま休校になったので、気になっていたのです……」

　集まった生徒たちに軽く頷きながら、オリビアは声をかけてくれた全員に礼を言った。

「ありがとうございます。私はこの通り平気です。みなさんは怪我などありませんでしたか？」

　一通り挨拶し終え、みんなも無事だったと聞いて安堵するオリビア。しかし直後に当時のことを語り賑やかだった周りが急に静かになった。視線の先は教室の入り口に集中している。

「おはよう」

　入り口にはレオンと護衛のハリーの姿が。一気に訪れた静寂。事件の日に彼が「自分のせいだ」と謝罪したことが影響しているのかもしれない。オリビアは教室に流れた微妙な空気を打ち消すべく、レオンに笑顔を向けた。

「おはようございます、レオン殿下。お元気でしたか？」

「うん、君のおかげでね」

　オリビアの挨拶にレオンが爽やかな笑顔を返す。それを皮切りに、黙っていた生徒たちが彼にいつもの羨望の眼差しを向けた。彼らはレオンに「おはようございます」や「お久しぶりでございます」と口々に声をかけた。

　レオンは爽やかな笑みを崩さぬまま、自席ではなく黒板を背に教卓に向かい立つ。

「ありがとう、みんな。僕から今回の件について少し説明させてもらいたい。いいかな？」

「「はい！」」

　クラスメイトたちは跳ねるように背筋を伸ばしてから、急いで自分の席についた。

＞＞続く

大変お待たせしました。

第八章スタートです！

今更かつ移植等の事情で一話が短めになっています！

読みにくかったら申し訳ありません💦

次回もよろしくお願いします☺️