女神様との出会い
目が慣れてくると、自分自身が今、草原に立っているのが分かりました。どこまでも続いているかのような、大きな大きな草原。
ここで大の字になってお昼寝をすると、とても楽しそうですね。
でも、大の字で寝転がろうとする前に、先客がいたことに気付きました。初対面の私に向かって、その人は笑いかけています。傍から見たら、ちょっと怖いと言いますか、不審者にも感じられますが、RPGにおけるNPCさんでしょうか。
この方に話しかけたら、ゲームのシナリオが進行するのでしょうかね、そう思いながら恐る恐る、NPCと思われる方の方に近づきました。
その方はとても美しい方で、ギリシャ神話に出てきそうな白いワンピースを身にまとい、少しウェーブがかった長髪を揺らしていました。
「ようこそ、『Wonderland Fantasy Online』へ。歓迎するわ」
「はっ、はいいいっ!!」
まるで本当に、目の前に人がいて話しかけてきたかのような感覚に、私は思わずのけぞりました。
「私はアリッサ。この世界の女神よ。全ての冒険者が、私の元から生まれ、旅立っていくの」
「なるほどここから、キャラクターメイキング画面に突入するんですね、分かります」
この女神様の質問に答えていくことで、キャラクターメイキングが完成し、私のこの世界でのアバター、この世界での私の分身が誕生するわけですね。
「さて、まずはあなたの名前から伺いましょう」
アリッサ様にそう尋ねられて、私は即答します。
「アイリーンです」
今までやってきたRPGジャンルのゲームでもよく、私はこの名前を使ってきました。愛良、アイラを少し変えれば、アイリーンです。この方が西洋風になってかっこいいかと思い、小さいころから好んで使っています。
「アイリーン。よい名前ですね」
褒められて嫌な人は、多分いません。
「それでは、あなたの容姿を決めましょう」
出ました。キャラクターメイク。一体、どんな素敵なメイキングができるのでしょう。私はいつも、キャラクターメイキングの時間だけで一時間ほど時間がかかります。とはいえ、今日は琢磨との約束があるため、いつもの半分以下でキャラクターメイキングを済ませる必要があります。一度決定しても、後から手直しできるシステムがあるとよいのですが……。
そんなことを考えていると、アリッサ様が言葉を続けます。
「この世界は、あなた方の住む世界と密接な関わりがあります。そのため、容姿はあなた方の世界から反映されるようになっています」
ななっ、なんですと!? キャラクターメイキングができるのが楽しいはずなのに! まさかのリアルに似せたものになってしまうなんて!
それは聞いてないですうううぅっ!
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