第2話第二の性と獅子堂学園(side 伊織)
この世には、男女の性別とは別に、アルファ・ベータ・オメガの第二の性が存在している。
アルファは生まれながらのエリートでカリスマ性があり、基本的に何でもこなしてしまう者が多い。ベータはごく一般的な能力を持ち、一番人口の割合を占めている。オメガは稀少な存在であり、何をやるにも人一倍努力が必要なのである。そしてオメガには他の性にはない、とても厄介な体質を持ち合わせている。それはアルファのみを誘う、アルファだけに効いてしまうフェロモンを持ち、定期的に発情期があることだ。オメガはその期間に入ってしまえば、アルファと会うことが制限され、発情期が終わるまで、間違ってうなじを噛まれて番にならないように隔離される。もしオメガの発情期によってアルファも発情してしまえば、望まない事故、つまり望まない番関係を結んでしまう可能性があるからだ。
ちなみに僕、双葉伊織はオメガで男だ。当然クラスはオメガの生徒だけで構成されているクラスに在籍している。そして今年の春から獅子堂学園の一年生として入学したばかりだ。
獅子堂学園を選んだ理由は、アルファ・ベータ・オメガという第二の性関係なく、学力次第で入学できるところだ。この学園に入ることができれば、自分の就きたい職にも優先的に就職できる制度もある。だから僕はこの学園に入るために、寝る間も惜しまず人一倍努力して合格を勝ち取った。
それはいい。だが、この学園には唯一気に入らない制度がある。それは「運命の番」制度だ。これはアルファとオメガの間にしか存在しない制度で、もしこの学園内に「運命の番」と呼ばれる同士が出会った場合、生涯の相手として婚姻関係になるというものだ。
僕はこの制度が大嫌いだ。なぜなら、運命そのものを恨んでいるから。
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