第44話 ハーレムエンド?いいえ、過労死フラグです
翌日からも雪村先輩のストーキングは続いた。もちろんそれが三人にバレないはずはなく──
「恋愛は風紀を乱すんじゃなかったのかよ?」
「語るに落ちる犯罪者」
「ストーカーはちょっと……」
アーヤ、影山、心晴の三人の前で生徒会長は正座をさせられていた。
「私も鈴木くんの彼女候補に入れてもらえないでしょうか?」
「はぁ? どの面下げて言ってるんだよ?」
アーヤが吠えると雪村先輩はビクッと震えて涙目になる。
自業自得だとは思うけど、あまりいじめると闇落ちしかねない。
でも庇えば三人が怒るのは間違いなかった。
詰んだな。
死ぬならいたくない方法がいいなと思いながら成り行きを見守っていた。
「今まで散々人の恋路を邪魔して虫がよすぎる」
「ごめんなさい、陰山さん」
焼き殺されるのが一番辛かった。
出来ればすいで眠らされ、目が覚めないうちに崖から落とされるとかがいい。
「待って。雪村先輩を彼女候補にいれるかは鈴木くんが決めることでしょ」
「志摩さん……ありがとう」
「勘違いしないでください。別にあなたの味方をする訳じゃありません」
安楽死用の注射って、やっぱり薬局とかでは売ってないんだよね?
「それでどうなんですか、鈴木くん」
爆弾とかで一瞬に木っ端微塵のミンチ肉になるのって痛いのかな?
「おい、鈴木! 聞いてるんだよ!」
「え? なに?」
「だから鈴木はどうしたいんだよ」
「やっぱり睡眠薬で眠らせてもらうのが一番かな」
「何の話だよ!?」
どうやら雪村先輩を彼女候補に入れるのか入れないのかの判断は僕に委ねられたと聞かされた。
どう答えようが誰かは不満を感じる。
折衷案みたいなものは恐らく全員の反感を買うだけで終わりだ。
ならばもう、捨て身で一か八かだ。
「よしわかった。全員と付き合おう」
「は?」
四人の声がこだました。
「ぶっちゃけ四人とも可愛いんだよね。一人になんて選べない。アーヤは美人だし、おっぱいも大きい。弱ったときは意外と可愛い一面もあるし。陰山は放っておけない。僕がいないとどうしようもないんじゃないかって思えてくる。あと可愛いし。心晴さんは奥さんにするには最高。気が利くし、料理もうまいし。雪村先輩はドMで面白い。イジリ甲斐がある。もういっそ、全員と付き合おう!」
軽薄感丸出しで笑う。
ここまで最低なことをすればみんな呆れて醒めてくれるはずだ。
「やっぱりね」
「そんなことだろうと思ったよ」
「鈴木くんらしい」
エンジョイ勢帰宅部の三人が呆れて笑う。
「日替わりと言わず二人三人まとめてデートしようぜ!」
「仕方ないね」
「分かったよ」
「え?」
予想外の返事に息が止まった。
「い、いいの、それで?」
「鈴木くんが望むなら、仕方ない」
独占欲の強そうな陰山まで同意する。
「公然と浮気するってことだよ?」
「浮気じゃない。全員愛してくれるってことでしょ?」
新入りの雪村さんまでもが僕の意見に賛成し始めた。
「みんな、よく考えて。嫌でしょ、絶対! 最低の男だと思わない!?」
「ううん。鈴木くんがいいならそれでいいの。実は私たち三人でそうしようかって話してたから」
「マジかよ……」
災い転じて福来る。
まさかの展開に気持ちが楽になっていった。
「ただし! 全員平等だからね? 誰か一人ばっか贔屓してうちを適当にあしらったら殺すから!」
「殺すって……ははは」
彼女たちの場合何かの喩えではなく本当に殺してくる。
「秘密事は禁止。二人きりのデートは許すけど全員の情報を共有する」
「誰かと二人でデートしたら他の人ともすること!」
その他細々としたものを勝手に決められていく。
全員と付き合うと言ったのは僕だったので、今さら引き返すことも出来ない。
危機が去ったととも思いきや、更なるピンチがやって来ただけだった。
────────────────────
誰か一人を選ぶことは避けられた鈴木くん。
ひとまず闇落ちは回避できましたが、今度は体力が持つかですよね。
さて次回から物語は一気に佳境に突入します!
驚くような急展開ですので振り落とされないようにご注意ください!
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