第43話 これからのカクヨム

 カクヨムに限らずWEB小説はこれからどうなっていくのだろうか。

 少し考えてみたいと思う。


 現状トップを走っているのは小説家になろうだ。

 なろうで起こった出来事が、時間差で他のサイトに押し寄せるような傾向がある。

 なろうを見ればだいたいの予想はつくのではないだろうか。


 小説家になろうは徐々に飽きられつつある。

 一時期の勢いはなく、外部サイトで取り上げられる回数も減ったように思う。

 これは文化として定着したという見方もあるだろう。

 実際、アクセスは右肩あがりで、登録ユーザーも着実に伸びている(たぶん)。


 ところがだ。

 増えたアクセスは、コミカライズ、アニメ化したような過去の大作がほとんどで、一般の作品に関してむしろ減っているという見方もあるのだ。

 登録ユーザーもあくまで積算、アカウントはあるもののアクセスしていないユーザーは相当数含まれている。

 アクティブユーザーはかなり減少しているのではないかという。


 このあたりの真偽はわたしにはよくわからない。

 だが、なろうを利用してきて、運営のあせりみたいなものを少しは感じている。


 運営はこれまで読者を優先してきた。

 というより、作者を守らないと言った方がいいか。

 やめたい人はやめてもらって結構。書き手などいくらでもいる。みたいな考えがどうも透けて見えていたのだ。


 ところが、最近作者を保護するような動きが見えてきた。

 作者側に配慮した機能拡張などが多く実装されるようになってきたのはもちろん、賞レースの増加や各種イベントとのタイアップ、作者に逃げられないようないわゆるニンジンを多数そろえ始めている。


 わたしが思うに、結構な数の作者が他サイトに移る動きをみせているからではないだろうか。

 はっきり言うが、わたしがなろうを利用していたのは、その圧倒的な読み手の数だ。

 投稿してもっとも読んでもらえるのがなろうだからだ。


 一時期と違い、カクヨムは読者が増えてきた。

 現在投稿中の作品は、なろうのブックマークが1123。カクヨムは1873とすでに逆転している。

 インセンティブもない。読者も減っている。

 なろうにこだわる必要など1ミリもないのである。


 また、ユーザー層の変化も実感している。

 ハイファンタジーのトップの座を、異世界恋愛が奪い取った。

 女性が増えてきたのもそうだが、なろうファンタジーの傾向に嫌気がさした人も多いからではないだろうか。

 エタる、欲望がダダ漏れ、読者が攻撃的など要因はさまざまだ。

 まあ、当然の結果かなとは思う。


 それにともない運営も動きを見せる。

 サイトのリニューアルである。


 わたしが新しくなったなろうを見た最初の印象は『アルファポリス』っぽいだ。

 アルファポリスは女性読者が多い。

 読者層を意識すれば当然似てくるだろう。

 あと、色合いが淡いのも気になった。

 これは読者の年齢層が下がっていることを意味する。


 歳をとるとわかる。

 薄い色が見づらくなるのだ。


 逆に作者はまだまだ年齢が高いままだと思われる。

 作者がもっとも多く使うであろうユーザーページが変わっていないから。

(年寄りほど変化に弱い)


 以上の点をふまえ、こんごカクヨムに訪れるであろう出来事は、読者の増加と作者の増加。

 また、恋愛がさらに強くなること。


 結果としてインセンティブで儲けるのがさらに難しくなるのではないかと予想している。

 ライバルが増えれば取り分は減るからね。それに見合うだけの読者増はないと見る。


 一番危惧するのは、カクヨムがなろうを超えたときだ。

 作者に手厚くするのは、なろうがトップに君臨しているからだ。

 採算度外視でシェアを奪う必要などなくなるのだ。


 作品を投稿する側として、インセンティブをそれなりにいただけるのは、三年が限度とみている。


 ちなみに、わたしの予想はほとんど当たらない。

 未来がどう転ぶかなど、誰にも分からないのである。

 なろうがインセンティブを導入する可能性だってある。カクヨムが撤退することも。

 そういう意味も含めて、マルチ投稿をおすすめしている。



※AIも気になるところだ。

 プロの領域を素人が奪ってきたのだから、つぎはAIに奪われるかもしれない。

 読み手が好みの要素を入力してやると、それに応じてAIが物語を作るのだ。

 物語の新たなイノベーションはないが、高いクオリティーを維持できそうな気がする。


 アイデアは読者、書くのはAI。そこでできた作品を競わす。

 マネージメント、編集といったものを読者に提供するスタイルに変化するかも?


『編集者になろう』

 そんなプラットフォームがでてくる日がくるのだろうか?


 業界がすたれる方が早いとは思うが、さて。

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