第47話 実践的文章テクニック(初心者むけ)

 意外と書かれていない文章テクニック。

 当たり前すぎて書かれていないのか、気づいてないのか。

 とくに勉強してない私にはよく分からないが、いちおう書いてみる。

 なにかの役に立てば幸いである。


1、~が言った。~が言った。~が言った。イキすぎ問題。


 小説では登場人物のセリフの前後に誰が話しているかを記載する必要がある。

 結果として、A君は言った、B君は言った、C君は言ったと説明ばかりがずらりと並ぶ。

 小説を書きなれていないと陥りやすい。

 これの改善策を自分なりにまとめてみる。


例1、二個にまとめる。

――――――

「この道を真っすぐじゃなかったっけ?」

「ううん。たしか右に曲がるハズ」


 Aの言葉をBは訂正した。

――――――

 

 誰が言ったか一つずつ説明するのではなく、二個まとめて書く。

 これで半分に減る。

 多くの方が実践していると思う。

 ほかの方法と組み合わせることにより、より小説らしくなるテクニックなので、未収得の方は意識してみてはどうだろう。


例2、順番を統一する。

――――――

 女神さまの言葉を俺は否定する。


「あなたが落としたのは、この金の杖ですか?」

「ちがいます」


「では、この銀の杖ですか?」

「ちがいます」


「では、落としたのは、この木の杖ですね?」

「……ちがいます」

――――――


 しゃべる順番を固定することにより、どちらが喋っているか分かりやすくする。

 これも基本のテクニック。

 その後いちいち書かなくても、だれのセリフかわかるのだ。

 もし、順番が入れ替わる場合は地の文を挿入する。

 これでまあなんとかなる。


 ちなみに、説明がセリフの前の場合は『~が言う』で、セリフの後では『~が言った』と過去形にすることが多い。

――――――

 女神さまは言う。

「あなたが落としたのは、この金の杖ですか?」


「あなたが落としたのは、この金の杖ですか?」

 女神さまは言った。

――――――

 こんな感じだ。

 もちろん前後の文章によって、セリフの位置に関係なく過去形を使ったりもする。

 だが、基本的にはこのパターンがわかりやすいかなと思う。


例3、『言った』以外の言葉で表現する。


――――――

 Aはプーと口をふくらました。


「けどさー、探検しようって言ったのはそっちじゃんよー」

――――――


 言ったと表現していないが、誰が言ったかなんとなくわかる。

 口をふくらましたの後に続くセリフはなにかを考えてやればいい。

 「だって」「でも」「んなことねえよ」などいろいろあると思う。

 けっこう大事なテクニックなので覚えておこう。


 また、基本的に読者は、描写された人物がその後のセリフを喋っていると予想する。

――――――

 巨大な斧を持った筋骨隆々の男が立ちふさがった。


「ここを通りたかったら有り金ぜんぶ置いていきな」


 なんという無茶な言い分だろう。

 どうにか金を払わないで済むような方法はないかと考える。

――――――


 こんな感じだ。みな男が喋ったんだろうなと思ったのではないだろうか?

 「言った」も「でも」も書いてないが、なんとなくそう思ってしまうものである。

 この種のセオリーを踏まえながらセリフを書いてやるとよい。

 とくに地の文とセリフがうまく繋がっていると、より効果的だ。


――――――

 ところが山田のメガネは、牛乳瓶の底のようにレンズが分厚かった。


「ごめん、よく見えない」


 だよね。聞いた俺がバカだったよ。

――――――


 メガネの度が強い→山田は目が悪い→よく見えない。というロジックだ。

 読者は自然と連想するわけだ。


 つながりがよい文章は疲れにくい。

 いろいろ考えてみてはいかがだろうか。


 つづく。

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