【えいえん】

asato

えいえん

ここはある港町。この海辺は、私とジャックの場所。


空と海が混ざり合う青さを見たまま、リィが言った。


「ねぇ、“ 永遠 ”ってあるのかな?」


“サクッ、サクッ、サクッ…”


「え?えいえん?あるんじゃないかぁ?」


何やら忙しそうに体を動かしながら、ジャックが答えた。


「んー、でも、誰も見たことないし、みんなそんなのないって言ってたよ?」


“サクッ、サクッ、サクッ…”


「誰も見たことないからって、そんなのないってことにはならないだろー?」


「んー、でも…」


“サクッ、サクッ…”


リィの声が小さくなったことに気付いたジャックは、リィの元へ駆け出した。


「バカだなぁ、 何しょんぼりしてんだよ!んー…しょうがないなぁ…よし!じゃあ、行くか!!」


「えっ!?どこに?」


「決まってんだろー!?探しに行くんだよ!えいえん!!」


ジャックは笑顔でそういうと、リィの手を引いて走り出した。


「あっ!!」

「わぁ!?」


“ドスン!”


「いってぇ…穴掘ってたの忘れてた…」


「あははっ!バカだなぁ!!」


ジャックの様子を見て、リィは笑った。


ここはある港町。この海辺は、リィと俺の場所。

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