【短編1015文字】正しいゴキブリの処理方法『3分で星新一のようなショートを読んでみませんか?』

ツネワタ

第1話

 蜚蠊(ゴキブリ)。英語名【cockroach】は、ゴキブリ目の総称。


 屋外のほか、家住性のゴキブリは台所をはじめ住居の各所にも生息。


 一般的に忌み嫌われている印象的な脂ぎった見た目。


 発見した場合、まず注意すべきなのはその素早さです。基本的にスピードでは上を取られているので、その場で瞬発力を鍛えるためのトレーニングを行ってください。



 余計な刺激さえ与えなければ対象はそのまま静止し続けるでしょう。



 さて、身体が温まったところで処理に移ります。


 まず紙コップなどの容器を対象の上から被せて逃げ場を無くしてください。角や隙間に潜伏している場合は平坦な場所に誘導しましょう。続いて容器の底に穴を空け、そこから殺虫剤を五分~三〇分ほど噴射し続けます。


 これでかなり弱体化できたはずです。


 噴射し終えたら紙コップごと予め用意しておいたレンガでゆっくり圧を加えるように潰しましょう。その後、一〇分ほど放置し、レンガを撤去。残った残骸ごとビニール袋に閉じ、アタッシュケースに入れ、手近にある大型粉砕機でケースごと粉々にしてください。


 粉砕後の残骸はそのまま鍋の中に入れ、屋外に移動。


 火を起こし、油を加えながら一時間ほど炎を絶やさず維持してください。


 燃えカスはそのまま鍋に放置し、蓋を被せ、特殊金庫に入れて四年ほど冷凍してください。並の生物ならこれで息の根を止める事ができるでしょう。


 しかし、奴らはこれでも生存している可能性が十分あるので、四年ごとに金庫から鍋を出し、解凍・焼却・冷凍を繰り返し、金庫の耐用年数が尽きるまでコレを根気強く続けて下さい。


 ご心配であるのなら金庫を溶接し、航空機爆撃による対象の破砕を行うのも効果的ですので、旧ソビエト連邦の兵器などを所持している方はお試しください。


 しかし、奴らはこれでも生存している可能性が十二分にあるので、爆撃後には速やかに火炎放射器などで現場の滅却を行う事を強くオススメします。


 奴らに慈悲は必要ありません。時には孤独を感じる事もあるでしょう。


 しかし、『孤独とは優れた精神の持ち主が辿る運命である』という言葉があります。


 ならばあなたの進む孤独な道は、あなたの強さゆえなのでしょう。


 閑話休題―― 話を戻します。その後は海を渡り、マリアナ海溝にて残骸を沈め、特殊な水圧の元に永久に沈めておけば一先ずは安心して良いでしょう。


 あとは逐一海底に探査艇を派遣し、細心の注意を払いながら動向を観察し続けましょう。


 以上が正しいゴキブリの処理方法です。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

【短編1015文字】正しいゴキブリの処理方法『3分で星新一のようなショートを読んでみませんか?』 ツネワタ @tsunewata0816

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ