ぼくたちの長かった戦いの日

武藤勇城

第一話

今日きょうはどこであそぼっか」

あついからおよぎにこうぜ!」

「でも…また山下やましたなにわれないかなぁ…」


 夏休なつやす五日目いつかめ

 ぼくたち仲良なかよ三人組さんにんぐみは、宿題しゅくだいそっちのけで毎日まいにちあそまわっていた。


 山下やましたというのはおなじクラスのギャング。

 子分こぶんどもを大勢おおぜいれて、学校がっこうでもそとでも威張いばらしている。

 ぼくたち仲良なかよ三人組さんにんぐみ天敵てんてきだ。


 ちかくをながれる河川敷かせんじき周辺しゅうへんは、山下一味やましたいちみのアジトである。

 ぼくたちが近寄ちかよれば、すぐさまんでてイヤミをわれ、はらわれてしまう。

 それがイヤだから、眼鏡めがねをかけた秀才しゅうさい仲良なかよ三人組さんにんぐみ軍師ぐんし木元きもとくんは心配しんぱいしているんだ。


 軍師ぐんしっていうのは、おおくのひと指揮しきする頭脳ずのうであり、リーダーだ。

 ちからよわいけど、とってもたよりになる。


山下やました一人ひとりだったら、おれがたおしてやるのにな!」

 たよりになるとえば、たか坂神さかがみくんもそうだ。

 ちいさいころから柔道じゅうどうをやっていたそうで、うでっぷしではだれにもけない。

 山下やましたにケンカでてるのは、学校中がっこうじゅうさがしても坂神さかがみくんしかいない。


「じゃあ今日きょうかわく。いいね?」

「もちろんだ!」

かったよぉ…でも山下一味やましたいちみがいたら中止ちゅうしだからね…」

「そのときはいつもの基地きちあそぼう。じゃあ一回いっかいいえかえって、水着みずぎ着替きがえて集合しゅうごうね」

「オッケー!」

「またあとで…」


 こうして、ぼくたちのながたたかいのはじまった。

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