繁盛

バブみ道日丿宮組

お題:隠された食堂 制限時間:15分

 裏路地というのをご存知か。

 文字通り、裏の路地にあるところを示す。

 ヤンキーであったり、浮浪者であったり、カップルがいる場所。

 普通の人はあまりいない場所。

 そのはずであるのに、ある裏路地には人の列ができるほどにご馳走をだす食堂があった。いわば、隠されてる食堂。雑誌に掲載された時点で隠されたというわけではなくなったが、場所的には隠れた場所である。

 そのお店は若い女性と、少年のような少女が営んでた。

 出てくる料理はラーメン。洋風和風と様々な種類があり、バカ盛りではなく普通のラーメン。それが絶品だった。

 運んでくる少女にうきうきして、店主の女性の愛らしい身体に興奮し、いざラーメンを食す。

 ーー幸せ。

 そう幸せが口いっぱいに広がる。

 男性客にはもちろん人気なのだが、女性客も多かった。

 毎日変わる少女のコスプレに女性客はドキマギした。こんな子供がほしいと誰しもが思った。

 少女は見つめられてることを自覚してた。同時に幸せを感じてた。みんな自分にハマってる、私だけの客なのだと。

 店主である女性は少女に嫉妬してたが、露出するわけにもいかない。Tシャツの下には、大きなキズ。斜めに入ったそれは見た人を畏怖させる。

 だからこそ、店主である女性は、いつも長いTシャツを着てる。細かなキズが腕にもあるためだ。本当であれば、短いのを着たいがそれはできなかった。

 注目を得るのは諦めた。

 代わりに料理で褒められる道を選んだ。

 先週発売された雑誌がかなり売れたこともあり、店はいつも以上に混んでた。1時間待ち。まるで人気のアトラクション。

 精進せねばと店主である女性は考える。

 新メニューの開発を進めねばならない。そして養子である少女のコスプレ道具も新しいのを考える必要があった。

 お金は尽きない。趣向も尽きない。

 毎日がただ充実してた。

 幸せでいいのかと最近店主である女性は思う。

 成功者とは皆このようなことを考えるのだろうか。

 今はこれでいいが、未来はわからない。

 それが人生という苦難の道であるのだから……。

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繁盛 バブみ道日丿宮組 @hinomiyariri

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