少年時代の純真さを忘れた人に読んで欲しい斬新な短編小説
- ★★★ Excellent!!!
短編ながら、小学3年生の初恋を通して人の生の本質が描き出されている点にとても感銘を受けました!
自分の小学生時代が自然と思い出される工夫が日記の随所に散りばめられており、心が洗われるような懐かしさを感じつつ、作品の世界に引き込まれます。
純粋な想いを寄せるお姉ちゃんの「ユーレイ」という理想と、意地悪なクラスメイトという現実の両者に向き合うことで、パッとしない風の主人公が懸命に考えを巡らせて生や性と格闘し、綺麗な心を成長させていく過程が、美しく微笑ましくも現実に生きる大人たちには痛烈に感じられるのではないでしょうか。
また最後の先生のひと言で、学校に馴染めない主人公の担任像と学校生活のリアルが鮮やかに表現されていたのも印象的でした。
ファンタジーとリアリティーが調和した短編の名作です!