第28話 R6.12/17 絶望と、その場所の文化を変えるということ
前回のことを、朝礼用にというか、考えをまとめるようにというかで考えていたのだけれど。
絶望してしまった。今の営業所にである。
何となく思ってはいた。何となく理解はしていた。しかし、文字に書くことによって、より、はっきりしてしまったように思う。
自分を売ること、そのためにティッシュを配ること、自己紹介カードを使うことに、MG自体が『別にしなくてもいい』と思っている。だから部下も『やらないでいいか』と思っている。そして何より、俺の上長も『しなくていい』と思っている。
やるわけがない。やるわけがないのだ。
川は上から下に流れるのだから。
俺が、何となくそうした方がいいのだと思って、新人にやり方を詰め込もうとした理由が、ようやく分かった。自分のことなのにね、可笑しいものだ。
『やり方を仕込まれた新人が、成功する』
そのモデルケースを作って結果を目に見えて証明しない限りは、この営業所は変わらないと思ったからだ。
自分を売ることは、明らかな営業の基本中の基本であるのに、その具体的な方法を実践させようとしない。
何故だろうね。何となく分かってはいる。俺の上長やMGは、基本的に営業能力が他の社員よりは高い。だから、ティッシュを使わなくても、自己紹介カードを使わなくても、自分を売ることが出来るのだ。
だから『そんなことしなくても出来るでしょ』と思ってしまう。しかし、それは高めのコミュニケーション能力があるから出来ることであって、他の社員は出来ないのだ。
それを分からず、何とかなるでしょとか思っているのだろう。何ともなっちゃいないのに。何ともなっちゃいないことが、何年も実証されているのに。
最高値のプランから提案することだって、そうだ。基本的に全能力が、全体的に、低い。自分を売れておらず、信頼関係も無く、ニーズ喚起も出来ず、きちんとお客さんが話を聴く雰囲気づくり、場面設定も出来ていない。
当たり前である。最初の自分を売ることが出来ていないのだから、その後の工程が上手いはずもないし上手くなるはずも無い。
そんな状況で、最高値のプランを提案してもスベって終わるだけだ。料金調整のトークも、出来るわけもない。信頼関係も無く、スキルも上手くなっていないのだから。
ツールを使うことで、自分を売るということを明確にしつつ、自分を売ることの難易度を下げる。自分を売ることをチャレンジして自分の売り方が上手くいかなかったら、自分の売り方を変える。
そこからしか始まらない。それはいずれ、商品を売るということを明確にし、商品を売ることをチャレンジして商品の売り方が上手くいかなかったら、売り方を変えることに繋がる。
スタートから、基本中の基本から、営業の最初から間違っているのだから、結果なんて着いてくるわけがないのだ。
絶望を噛み締めながら、勉強にはなった。
その場所の文化を変えることは、生半なことじゃない。中間管理職の協力や、ベテランの協力が要る。協力が求められない状態ならば、自分でモデルケースを作る等のウルトラCが必要になる。
……でも。書きながら、小さな希望もあるんじゃないか、とも思った。
今なら、その中間の方法が取れるかもしれない。モデルケースになるとまでは至らなかったが、教えた新人にはある程度の結果は出たのだ。明らかに成長しているとは、誰もが認めているだろう。
仕込み尽くせはしなかったし、その新人も効果は認めてはいるのに、俺の言う通りの実践はしていない。MGに、強制を協力させれば、どうか。
新人に、何故やらないかを本音で話してもらうことも必要だ。断りの入ったクロージングと同じじゃないか。白旗を上げた振りをして、本音を引き出す。そして、その本音に対して解決してあげる。
それをやってみよう。そして、MGにもその上で協力させる。
絶望して終わりじゃ、つまらない。小さな希望が光れば、絶対に大きくなる。やってみよう。
……と、長々とここまで書いたのだが。私の中に一抹の不安はある。
逆に私が上長やMGを『わかってない奴ら』とレッテルを貼って一方的に正しいと思っている『都合の良い空想』で思索してないかということだ。
これを自分にとっての都合の良い空想としているなら、私は恥ずかしくてたまらない人間だ。物言わぬ想像上の敵に「わかってない」と唾を吐く文章を書き散らしているのだから。
まぁ自分が100%正しいことなどありはしない。と同様に、相手が100%誤っていることも、ないのだ。
つまりは一度、落ち着いて話し合ってみるべきなんだろう。
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