14
それから手当てをしてやり、そばにいてやろうと、一歩も外に出ずに、包帯だらけとなり、瞼を閉じたままの彼を見続けていた。
そんな日々を過ごし、ベッドの縁に座り、何となく赤い月を見ている時。
後ろから布の擦れる音が聞こえた。
バッと後方を振り返ると、目を覚ましたクロサキが起き上がっているのが目に映った。
「·····! クロ──」
口を噤んでしまった。
今までなら、人が部屋に入ってきた途端、すぐさま布団を被り、震わせていたのが、こんなに手が届きそうな距離にいるというのに、ピクリとも動かさず、虚ろな目でただ前を向いていた。
様子がおかしい。
得体の知れない恐怖を感じているのか、すっかり喉が渇き、心なしか手が震えていた。
らしくもない、と自分に笑いそうになったが、顔が引きつっているのを感じた。
クロサキがこうなったのは、あの二人のせいなのだろう。そうとしか思えない。そうだと思わないと、自分でさえ説明のしようがない恐怖に飲み込まれそうだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます