10
指を差している方向を見て、しまったと叫びそうになった。
彼らが見た方向、それはヒュウガの隣に座り込んでいた少年の存在。
彼らの反応を見て思い出したが、あの"ウワサ"があった少年だった。
ヒュウガは彼らほど気にもしてなかったため、時間が経つと共にすっかり忘れていたが、それが仇となってしまった。
まずい。非常にまずい。
「ヒュウガ、オマエっ! そんなヤツを匿っていたのかよ!」
「あの"ウワサ"のこと、話しただろっ! そんなヤツといたら、面倒なことになるぞ!」
早く報告しろ、匿っていたことがバレるとオマエまで連行されかねないぞ、などと、青ざめたままわーわー騒いでいた。
やはり、面倒なことが起きたか。
騒いでいるヤツを見ると、かえって冷静になるらしい。少しずつ頭が冷えていくのを感じながら、二人をじっと見据えた。
あの時、信じてない言い方をしてなかったか? 他の死神と大差がないと笑っていなかったか?
あれらは全て、内心酷く怖がっていたのを誤魔化すための嘘だったのか。
そう思った途端、冷えていった頭が沸騰しそうなほど、血が上っていく感覚があった。
それが頂点に達した時、気づけば、「オマエらッ!」と怒鳴っていた。
「"ウワサ"だが何だか知らねーが、言っていいことと悪いことがあるだろうーが! テメェなんて、他の連中と大差がねーって、笑っていやがったじゃねーが! なんだよ、内心ビビっていたのかよ!」
「べ、べつにビビってなんか·····」
「はぁ? 声がちっせーわ! オマエらに何言われようが、オレはコイツとはダチなんだ。どんなことがあっても、コイツのことを信用してやるし、助けてやるんだっ」
一気に捲し立てたものだから、その場の勢いで言ってしまったところがあるが、この際どうでもいい。目の前にいる二人が黙ってくれれば。
しかし、怒ると体力は使う。肩で息をしているのだから。
まだ何か言おうとしている友人らを無言で睨みつけると、怯んで一歩も動けずにいる友人らに舌打ちをし、震え上がっている少年の腕を掴むと、共に家へと入って行った。
入った直後、手を離すと、やっとの足取りでその少年はさっさと部屋へと入って行くのを、ただ見ていた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます